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自衛隊のトイレットペーパー自腹問題に終止符。防衛予算「微増」で

メディアは防衛費の「肥大化」を煽るが、防衛省の概算要求は「微増」にすぎない

陸上自衛隊

陸上自衛隊Facebookより

 防衛省の令和2年度予算の概算要求は総額5.3兆円規模と「過去最大」となりました。しかし、必要な予算を積み上げ式で計算すればこの程度の規模で収まるはずがなく、これではまた必要なものを我慢することになります。この程度の微増では大型化する装備品の兵站を賄うことができません。有事に継続しての戦闘能力を保てる「弾薬・燃料・人員」を十分に持てなければ、あっという間に撃破されてしまいます。どんなに優秀な戦闘機や空母を持っていても弾がなくなれば、ただのオモチャです。  我が国は本当に国民を守る気があるのでしょうか?  先進国の軍事費はGDP比2%が最低ラインだと思います。東アジア情勢が一瞬即発の緊迫を増すなか、我が国は有事に必要な弾薬や燃料を備蓄し、国民を守ろうとしないまま安穏と過ごすつもりでしょうか? 米国のトランプ大統領はときおり同盟国である我が国に対して、日米安保の不公平感を解消するようあからさまに求めてきます。目の前に火種がある我が国が自国防衛努力を怠れば、いつまで米国は依存させてくれるのか不安です。

緊迫化する朝鮮半島情勢を考えれば、軍事費のGDP2%超えを目指した議論を

 韓国がGSOMIA(軍事情報に関する包括的保全協定)の破棄を告げてきました。米韓関係もかなり険悪になってきています。朝鮮半島内部の人間を介した情報(ヒューミント)は減ることでしょうが、我が国が軍事情報に困るほどではありません。  そんななか、韓国の文在寅大統領は在韓米軍の撤退を推し進めようと、関係改善とは真逆の方向に暴走しています。北朝鮮と韓国の関係も、北朝鮮のミサイルがたびたび韓国沖に発射されるなど、朝鮮半島有事が現実になりそうな緊張状態が続いています。これはつまり、我が国の対馬沖が戦場になる可能性が日に日に高まっているわけです。  有事に対して弾薬や燃料や輸送手段を準備しなくていいのでしょうか? 朝鮮半島から来るボート難民対処に収容施設や警戒要員を準備しなくていいのでしょうか? 何もなければいいのでしょうが、この予算では不安は拭えないのです。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

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