更新日:2023年04月19日 20:52
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自衛隊のトイレットペーパー自腹問題に終止符。防衛予算「微増」で

その63 自衛隊員の「待遇改善」が予算の概算要求に明記された

 防衛省が令和2年度予算の概算要求を出しました。予算規模は総額5.3兆円となり、報道では「過去最大」とされています。しかし、この程度の「微増」では自衛隊の悲惨な内情を補うことは到底できないでしょう。東アジアの情勢を鑑みれば、GDP比2%以上の軍事費でも、いざと言うときに国を守り切れるとは思えません。国民の生命と財産を守る気概が、我が国には微塵も感じられないことを悲しく思います。  しかし、たった一つ評価したいことがあります。この連載で過去何度も取り上げた「トイレットペーパー自腹問題」や官舎の老朽化など、隊員の生活全般を改善するための予算が付いた点です。「トイレットペーパー自腹問題」が取り上げられた昨年11月の臨時国会で、安倍総理が「このミクロの問題についてはただちに対応していきたい」と述べましたが、この約束が果たされたということです!  政府の本気度はすさまじく、一部屋まるまる「トイレットペーパー・ルーム」という部屋が突如出現した駐屯地もあります。問題を真正面から受け止めてくれた政府の「どうだ! まいったか!」という声が聞こえてくるようです。
トイレットペーパー・ルーム

自衛隊駐屯地のトイレに突如、出現したトイレットペーパーの山。少しずつではあるが、ここ数年予算が上積みされていることで、自衛隊員の「待遇改善」に繋がった一例といえよう

 今回の概算要求には「隊員の生活・勤務環境改善のための備品や日用品等の整備に対して24億円。隊員が士気高く任務に専念できるよう、老朽化した生活・勤務 用備品の更新や日用品等を整備に対して環境改善のための自衛隊施設の整備で586億円」が共に計上されています。  この問題を知る人が増え、国会でも取り上げられた結果です。これですべての自衛隊員の生活面の問題が改善されるわけではありませんが、はっきりと明るい希望の光がともりました。これまで、経費自腹負担に不満はあっても「どうせ誰も取り合ってくれない」と自衛隊員は諦めていました。  しかし、問題を粘り強く訴えていくことによって、自衛隊の「待遇問題」が広く周知されることとなり、国も重い腰を上げて待遇改善に向け動き出してくれたのです。少しずつですが、世論がよい方向に形づくられていくのを見て、この連載を続けてきてよかったとつくづく思いました。  自衛隊は「何ができないか? 何が足らないか? 何に苦しんでいるのか?」といった自衛隊の宿痾をリポートしたこの連載が『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』という新書になりました。この問題は我が国の国防に大きな病巣となっていますが、地味で目立たぬものです。この機会にぜひ多くの人に知っていただきたいと思います。
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おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……


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