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「セクハラ加害」に怯える潜水艦乗組員。禁断の女性登用に踏み切ったが…

~その62~「職場の平等」が求められる時代

「令和」は職場での「平等」がさまざまな議論を呼ぶ時代になりそうです。 国会議事堂 7月21日に行われた参議院議員選挙の結果、全身の筋力が徐々に低下していく難病「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」患者の舩後靖彦氏(61)と、脳性麻痺で首から下を自由に動かせない木村英子氏(54)が初当選しました。重度障害を持つ議員の受け入れ態勢について議論が始まりました。8月1日のNHKニュースでは、両議員が厚生労働委員会に所属できるよう、れいわ新選組代表の山本太郎氏が自民党に要請したという報道がありました。  重度障害を抱える国会議員として「厚生労働委員会に所属したい」という希望を持つこと自体は自由ですが、そもそも国会の委員会の枠は会派の数によって割り当てられるものです(国会法第46条で「常任委員及び特別委員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当て選任する」と定められています)。  委員会の席を選びたければ、ルール上、れいわ新選組が「自民党と会派を組む」か、もしくは「舩後・木村両議員が離党して自民党会派に入る」など、議席数配分のある会派に所属しなければ無理です。この制度を無視して「障害者だから」という理由で法律を歪めて委員の枠を獲得しようとすることは、“逆差別”などという問題以前に国会議員の職権濫用と言えるでしょう。  法律の遵守という点において、国会議員が垂範たるべき立場であることは大前提です。社会福祉の実現にはさまざまな課題があり、国会では児童虐待や高齢者福祉、貧困問題など多くの問題を法律のルールの下で平等に議論しています。結果として、お二人は各会派が特別に調整して「文教科学委員会」「国土交通委員会」に所属することになりました。多様な条件の人々が職業機会の均等を考える時代に、重度障害を持つ議員の誕生は多くの日本人に勇気を与えるかもしれません。  でも、国会議員が法律のルールを遵守せず、その権力で無理強いするのでは興ざめです。国会議員として当選されたお二人は、他の議員と同様に、純粋にその業績により評価されることになります。立法府において法を守り、与えられた権力を私たち国民のために行使して、それぞれのお立場からしっかり仕事をしてほしいと期待しています。  さて、このように令和の幕開けの選挙は「職域の平等」について深く考えさせられる結果となりました。自衛隊でも人材不足解決の手段として、女性への職域解放が進んでいます。女性にとっては喜ばしいことであり、自衛隊内のほとんどの職種で女性登用は可能でしょう。しかし「すべての職域への女性登用」には現実的に無理があると考えます。ここではすでに決定している潜水艦への女性登用について考えてみたいと思います。
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潜水艦が禁断の「女性登用」に
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自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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