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ファーウェイ問題は、スパイ活動よりサイバーテロが怖い

小笠原理恵「自衛隊ができない100のこと 60」

ファーウェイの通信機器と「スパイ活動」

中国 米国のトランプ大統領は6月28・29日に大阪で開催されたG20で対中国への追加関税を見送り、米国から米商務省産業安全局の「エンティティ・リスト(EL)」に載った中国通信機器大手「ファーウェイ」(華為技術)への事実上の禁輸措置を緩和しました。緊張続きのアジア情勢でしたが、対中国追加関税の見送りは少しだけほっと息をつけるような話題であり、今後、米中の貿易協議が再開されるのを見守りたいと思います。  トランプ大統領は中国の通信機器メーカー、ファーウェイ等を安全保障上の脅威としています。「中国企業は中国共産党に逆らえない」という懸念が要因です。特に「スパイ活動」と「サイバー攻撃」を重大な脅威としています。  すでに2012年の米下院情報特別委員会報告書から、ファーウェイは「サイバー攻撃」や「スパイ活動」を可能にする「悪質な埋め込み」があると警告されていました。さまざまなスパイ事件も明らかになり、米国商務省安全保障局(BIS)は規制を強化しました。ファーウェイは2018年の世界特許出願数トップの企業ですが、この数字を素直に褒めたたえる気にはなれません。  なぜ、以前から指摘されていたファーウェイのスパイ疑惑が今になって米中貿易戦争を引き起こしたのでしょうか? それは超高速大容量データが流れる5Gの時代を目前としているからです。  ファーウェイが5Gネットワークを支配する中心的な企業になれば、さらに知財リスクが増大します。中国共産党の意思を反映したファーウェイ製の基地局が世界中に建てられてしまったら、中国に情報通信ネットワークの覇権を握らせてしまうことになり「マジヤバい」からです。  これは貿易や経済の問題であると同時に、安全保障の面でも脅威となります。「米中貿易戦争」と命名されていますが、5Gネットワークを利用するすべての国に関わる重大な問題なのです。

「スパイウェア」を政府調達から排除へ

「昔はお役所のパソコンは国産と決まっていたなぁ」と懐かしむ声があります。パソコンが官公庁や企業に導入されたばかりの古き良き日本では、政府や自治体などの官公庁には国産のパソコンしかありませんでした。NTTが民営化した頃は、通信機器も国内の通信メーカーばかりでした。しかし、貿易自由化の波を受け、自由入札で政府調達された機器類にはスパイチップ等が入り込んでいた可能性があります。  昨年12月、日本政府は政府調達からファーウェイとZTE(中興通訊)を排除する決定を下しました。残念ながら政府調達だけですが、危険なスパイウェアを排除できるようになりました。遅すぎますが、やらないよりはマシです。これを受けて、防衛省内でもさまざまな動きがあったようです。ファーウェイ製の機器だけでなく、すべての機器類も中を開けて「危険なチップが紛れ込んでいないか」と徹底的にチェックしているようです。
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サイバー攻撃が安全保障上の脅威
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