更新日:2023年04月25日 00:07
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飲食店の無断キャンセル客、被害額2000億円。弁護士が料金回収する方法とは

キャンセル料金を回収

※写真はイメージです

キャンセル料金を回収するサービス

 さらに飲食業界には、心強い援軍が出現している。今年7月、弁護士の北周士氏は、No show被害に遭った飲食店に代わって、弁護士が被害分を代行回収するサービス「ノーキャンドットコム」を立ち上げたのである。 「このサービスへの会員登録は無料で、弁護士に依頼する際に通常だと必要になる着手金などが一切不要です。お店の被害分を回収できた場合に限って、その30%を手数料としていただく仕組みです。すでに着手した案件もあり、今のところ回収率は約40%です」  つまりNo showに対してこれまでは泣き寝入りするしかなかった飲食店も、店舗情報、営業許可証、身分証のデータがあれば登録でき、極めて安価なコストで弁護士に損害の回収を依頼できるという仕組みだ。 「もともと私は外食が趣味でして、家賃よりも多くのお金を飲食費に当てているほどです。飲食業界には大変お世話になっているので、自分が持っている資格で恩返しができたらと思い、このビジネスを始めました。現在までの会員店舗数は約50、依頼数も40件以上に達しています。No showが発生しやすい飲食店の傾向としては、客単価が3000~5000円の比較的安いお店(居酒屋など)が中心になっています」  もちろん、外食への愛を掲げるだけでなく、北氏はビジネスとしての展望もしっかり描く。このサービスはまさに“ブルーオーシャン”市場でもあり、前述のNo show損害額2000億円を抱える飲食業界全体のうち、仮に2割の飲食店が加入すれば損害額は400億円。その損害の回収率が40%なら160億円で、そこから30%の成功報酬を受け取れば48億円となる。  いずれは二匹目のドジョウを狙った法曹関係者が続々と参入してきそうな気配だが、パイオニアの北氏は具体的にどのような形で回収代行を行うのだろうか。 「まずはお店が予約時に聞いた客の電話番号に、SMSで『損害分をお支払いください』とメッセージを送ります。すると多くの人は、返信はないものの一応は払ってくれますが、なかには無視して払わない人も。その場合はお店が希望すれば、別途料金にて訴訟に発展させることもあります」  店に知られているのは電話番号だけだとタカをくくっていては、痛い目に遭う。弁護士は電話番号から契約者情報を調べることが可能だからだ。一本のキャンセル電話でお互いに気持ちよくなれることを、胸に刻むべきなのだ。 【弁護士・北 周士氏】 法律事務所アルシエンパートナー。東京弁護士会所属。昨年、朝鮮学校への補助金交付に賛成したというデマが拡散され、多数のネトウヨから懲戒請求を受けたことで一躍有名に <取材・文/村田孔明・岡田光雄・野中ツトム(清談社)>
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