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台風後、高速道路の通行止めがすぐ解除されないのはなぜ?

カーマニアの聖地・西湘バイパスを守るには?

 対策としては、まず設備の補修がある。老朽化した個所から順に鉄筋コンクリート製の擁壁の作り直しが進んでいる。テトラポットの設置も行われているが、高波によってわずか数年で地中に埋まってしまうこともある。  もう1つの対策は、砂浜の復活だ。  上流部に多くのダムが造られたことで、河川からの相模湾への砂の流入が減り、加えて近年の巨大台風の浸食によって、近年、砂浜はやせ細る一方だった。それで高波が直接道路の擁壁にぶつかるようになった。その対策として、5年前から「潜水突堤+砂礫養浜」の工事が進められつつある。これは、新たな工法によって自然な砂浜の再生を図ろうというもの。道路のみならず、沿岸住民を守り、景観を回復させる狙いもある。

西湘海岸の砂浜整備事業の概要(国土交通省関東整備局発表資料より)

 西湘バイパスが全面通行止めになると、並行する国道1号線が慢性的な渋滞になる。簡単に廃道にはできない。今回の被害で、再度片側1車線の対面通行に戻ることになりそうだが、とにもかくにも、なんとか存続してくれることを祈りたい。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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