日本車のネーミングは、スープラとかスカイラインとかなにかしら名前っぽい感じですが、欧州ではアウディA4とかBMW320dとか、コードネームっぽい名前が主流です。そんななか我らがマツダが欧州化? アクセラの後継車をMazda3として発売しました。名前だけでなく中身も欧州のクルマに負けない感じになったのでしょうか?

MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
マツダ3はカーマニアのヒーローか?未完の大器か?
人間、オッサンになると、若きヒーローへの思い入れが強くなる。たとえばかつての石川遼や、現在の大谷翔平だ。彼らが活躍してくれれば我がことのようにうれしく、不振に陥ればガックリする。一種の代償作用ですな。
カーマニア(≒オッサン)も、国産車のヒーローの出現を常に待ち望んでいる。カーマニア的価値観における“いいクルマ”が登場して、世界的に高い評価を得てもらいたいと願っているのだ。別にヒット車になる必要はない。ヒット車ってのは一般大衆にウケるってことなので、むしろわかる者にしかわからないような、隠れた名車が最も望ましい。
マツダ3は、まさにそういった存在になりそうで、カーマニアの期待は高まっていた。
その期待がいま、少しばかり崩れつつある。期待が大きすぎたせいもあって、出てみたらそれほどでもなかったのだ。甲子園のヒーローが鳴り物入りでプロ入りしたけど、意外とイマイチだったみたいに。
マツダ3は、これまで国内ではアクセラという名前で売られており、すでに隠れた名車だった。カーマニアが乗れば「いいクルマだなあ」と感心するけれど、特に目立った技術があるわけではなく、カタチも普通のハッチバック&セダン。いぶし銀すぎて、あまり一般受けはしない。まさにカーマニアの理想像!
そのアクセラを、さらにこだわりまくって進化させ、デザインもこだわりまくって美しく仕上げ、ついでに世界を震撼させる新技術も投入して、このクラスの世界的ベンチマークであるVWゴルフをも超える究極のグローバルカーが出現する! それがマツダ3! そう期待されていたのです。

マツダ3はセダンとハッチバックをラインナップ(写真はハッチバック)。セダンは2リッターガソリンエンジンと2リッターディーゼルエンジンを、ハッチバックはさらに1.5リッターガソリンエンジンもラインナップする。218万1000円~
確かにデザインは美しい。マツダ3と比べれば、ゴルフのデザインなんざカッペ! フランスやイタリアの同クラス車と比べても勝っている。
なによりすごいのは、小細工ナシの超シンプルな造形で、この美しさを実現していることだ。ボディ面に刻まれたエッジラインはほとんどナシ。キラキラしたメッキや装飾的なLEDも控えて、カタマリの本質で人々のココロをつかむ! 和食同様、素材の良さってヤツですね。