例えば人生をトランプだと考えてみる。その心は……
中島:トランプで、例えば「2」のカードを持っていたとするじゃないですか。「2」はポーカーだと弱い。でも、大富豪では強い。そういうことは、すごくあると思います。トランプは卓に着いてからカードが配られるけど、人生というゲームはカードが配られてから卓に座る。ものすごいバグったゲームなんです(笑)。「俺、2があるからこれやろう」、と選べる。どんな人であれ、手に持ったカードをどう使っていくかの話なんです。
高瀬:すごい人とか天才は、自分でゲームを作っちゃう人もいますよね。
中島:確かに。
高瀬:そういう人は最強ですよね。ただ、今の意味でいうと世の中にどういう種類のゲームがあるかを知るのは大事かもしれない。自分の手札を活かせる色んなゲームがあるんだよ、ということを知っているかどうか。それが全てかもしれないですね。難しいのは、まず自分の手札を知ること。その後で、カードを活かせる「大富豪」があることを、いかに知るか。この2点かな。
中島:人生を人生のまま捉えてしまうと、深刻になってしまうこともあるので、楽に考えたほうがいいなと思って、よく例え話をするんです。自分が一番「Like」を感じるものに例えるといい。
高瀬:よく言いますよね。RPGとか、昔で言えば人生ゲーム。
中島:そうですね。その試行回数をどれだけ増やせるかが、鍵になるかなと思います。
高瀬:ゲームと考えると、出会いがバグだ、というのはすごくわかりやすいですね。
中島:全く別の世界がくっついちゃう感じです。ONE PIECEとNARUTOが「ボンッ!」ってくっついちゃうみたいな。そういうことが起きると、わけわかんないことが起こる。それを何回か起こしていると、勝手にすごいことが起きてきたりする。
高瀬:進化って、バグですもんね。
人生を自分が一番「Like」を感じるものに例えるといい(中島氏)
中島:今はSNSでそれを能動的に、自分で起こせるようになった。出会いって受動的だったじゃないですか。会社に入ったからたまたま一緒とか、大学入ったらたまたま同じ学部とか。能動的な出会いってあまりなかったけど、SNSがある今は、何かでポジションを取ってしまえば、他の業界とも繋がれる。それに気づいて、いかにポジションをとるか。そこが今のゲームバランスが崩れたところです。
高瀬:なるほど。
中島:今はどこかの業界でポジションとれば、それはトップランナーじゃなくてもいい。その業界において珍しい人になればいい。以前、40代でプロデビューしたJリーガーの方と会ったんですよ。その人はトップランナーではないけど、Jリーグの中で最年長でデビューしたというポジションを持ってる。そのポジションで、別の業界とも繋がれる。そうすると、どんどん飛躍していける。
今のゲームバランスが壊れてるところを突いていくと、楽にゲームを進められるんだけど、これは裏技みたいなもので。共有されてはいると思うんですが、みんなよくわからないまま、やらずにいる。やらなくていい人はいいけど、ただ、やっていないだけの人もいます。
高瀬:おっしゃる通りですね。
中島:それを別に正義としてしているわけではなく、ゲーマーとして同じゲームをやっているんだったら、これもやったほうがいいよ、と。
高瀬:やってみないと自分がゲーマーなのかすら、わからないもんね。
中島:そうですね。ただ、やってるゲームが違うだけで、大体ゲーマーだと思いますけどね。『どうぶつの森』をやってるなあ、と思う人もいる。逆に僕も『どうぶつの森』をやりたい時もあれば、別のゲームを一気にガーってやりたい時もある。それは割合ですよね。和やかなゲームをプレーするのが2割とか。
高瀬:その時の気分もあるしね。
~第4回へ続く~
高瀬敦也
株式会社ジェネレートワン代表取締役CEO。フジテレビのプロデューサーを経て独立。音声と写真のコンテンツプラットフォームアプリhearrの企画やマンガ原作・脚本制作、アイドルグループ、アパレルブランドのプロデュースを手掛けるなど、幅広いコンテンツプロデュース・コンサルティングを行っている。著書に『
人がうごく コンテンツのつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)
中島太一
プロ奢ラレヤー。22歳。年収1000万円の奢られ屋。Twitterを介して出会った様々な人に「奢られる」という活動をし、わずか6か月でフォロワー2万人を獲得。現在、フォロワー8万人超。
<取材・文/高橋孝介 撮影/Coji Kanazawa 取材協力/AOYUZU恵比寿>