徳島の名門・鳴門卒の高卒3年目左腕。甲子園には1年生時から3年連続夏の甲子園出場を果たしているだけに、高校野球ファンの間ではお馴染みの存在であった。 　社会人2年目となる昨シーズンに早くもエースの座を掴み、秋の社会人野球日本選手権では決勝戦までの全5試合中3試合に先発し、初戦＆準々決勝と2戦連続完封勝利。決勝戦の三菱重工名古屋との一戦では9回を投げ、1失点の好投をみせたがチームは延長13回の激闘のすえ、1-2で準Vに終わった。それでもこの大会での力投によって、一躍プロのスカウトの評価が急騰。 　その最大の武器は174センチと決して大柄ではない身体から繰り出される最速151キロの速球で、特に右打者の内角をえぐる直球は威力満点。常時でも140キロ前後を記録し、これにチェンジアップとツーシーム、スライダー、スローカーブを交えて打者を手玉に取る。スリークォーター気味の投球フォームも球の出所が見づらく、調子が悪いなりに試合を作れる点もプロ側は高く評価。即戦力投手である。 　大卒の社会人2年目右腕。1年目の昨年は10試合に登板し、中でも秋の社会人野球日本選手権準々決勝の新日鐵住金広畑戦では初回の初球で当時、自己最速となる152キロをマーク。7回1/3を投げ、被安打7、8奪三振、失点3、自責点3という好投でチームに白星をもたらした。 　今年は都市対抗予選で自己最速となる154キロを叩き出したほか、本選でも2試合に先発し、9回2/3を投げ、11三振を奪っている。身長177センチと上背は足りないものの、力投型の右腕で最速は154キロ、常時140キロ台中盤から150キロ前後の伸びのある直球を武器とする本格派で、そこにカットボール、フォーク、1縦のスライダー、カーブと4種類の変化球を組み立てて三振を奪っていくのが特徴だ。即戦力投手として期待大。 　そのほか東北福祉大の最速149キロを誇る右サイドハンドの津森宥紀、大阪商業大の最速149キロ左腕の橋本佑樹の“Wゆうき”の名を挙げておきたい。果たしてこの中で何名が1位指名を勝ち取れるのか？　注目である。＜取材・文／上杉純也＞