更新日:2023年04月27日 10:30
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純烈、紅白2年連続決定! ~純烈物語「白川が体感した石灰まみれの熱唱」

元力士の力量をいかんなく発揮

 ドサクサの中で、白川は元力士っぷりをいかんなく発揮。高木や120kgの太っちょプロレスラー・伊橋剛太を豪快な投げで叩きつける活躍を見せた。その結果、最後は酒井がマッスル時代からの盟友である男色ディーノ直伝・男色ドライバーで勝利をあげ、めでたく純烈は両国出場を決めたのだった。 【この模様の詳細はリンク参照】⇒http://extremeparty.heteml.jp/2013/d130529.htm 「皆さん、本当に腰が低くてビックリしました。歌手活動されているのは知っていたのですが、僕らはテレビで戦隊、ライダー、あばれはっちゃくを見ている世代なので、本物だ!感がそっち方面で強くて、メンバーの皆さんも僕らに対していつもと違う反応だなという感じだったと思います。  一圭さんや白川さんがウチの会社でグチャグチャになって闘っているのを見て、テレビで見ていた記憶が蘇ってきましたね。『うわっ、牛込草太郎(ガオブラック変身前の役名)と霞一甲(カブトライジャー変身前の役名)がウチで闘ってるやん!』って。仮面ライダー好きの社員は、小田井さんや友井さんに対し同じことを言っていましたね」  純烈がすごかったのは、石灰まみれになりながらも試合後に「恋は青いバラ」をキッチリと歌いあげたところ。当時を振り返り、白川は「石灰がノドに入ってイガイガの状態で歌ったので大変でした」と苦笑する。  コーラスグループのリードボーカルにとって、石灰は大敵となる。それでも、工場にまで駆けつけた純烈のファンはもちろん、プロレスファンにもその気概を見せつけたのだった。宮地社長も、そのプロ根性には脱帽したという。 「夢は紅白、親孝行の目標を達成されたことが、本当に自分のことのように嬉しかったです。特撮俳優さんが歌手に転身して紅白出演という、僕ら特撮ファンからしたら予想できない大出世を成し遂げられたことをとにかく喜びました。僕らのヒーローが国民のヒーローになったんですから」  こうした経験の積み重ねが、紅白へとつながっていった。ちなみに力士出身の白川ではあるが「相撲は一瞬ですけど、プロレスはずっと相手の技を受けきれなければやれない。あれは怖いし、僕には無理です」とリスペクトする。  じつは過去に白川は、総合格闘技イベント・PRIDEでルールディレクターを務めていた島田裕二レフェリーに誘われたことがあったという。ハリケンジャーで共演した福澄美緒がラウンドガールをやった関係から、紹介された。  当時、島田氏は麻布十番でジムを開いており、そこへあった酸素カプセルを使わせてもらった時に「プロレスやってみようよ。覆面を被って登場して、脱いだらハリケンジャーの兄者だった!って、インパクトあるでしょ」と、具体的なアイデアまで提示された。もしもその気があったら、酒井よりも先にプロレスラーとなっていたかもしれない。そうなったら、力士までは喜んでくれた母も、どう思っただろう。  純烈としてやっていけるという手応えを得られるようになったのは、本当にこの数年だと白川は噛み締める。歌で悩み、あり得ない体験をいっぱい積み、何度となく逃げ出したくなりながらそれでも続け、気がつけばあの日、酒井が熱い目で投げてきた場所へ立っている。  まだまだこれから進むべき道が続くのは承知の上で、ここまでの純烈人生についてどう思うかを振ってみた。そこでも白川が口にしたのは、大切な母の存在だった。 「今、86歳なんですけど家へ帰るたびに体が弱っていて……こうして純烈で頑張んなきゃと思えているのは、ファンもメンバーもそうだけど一番はお母ちゃんの存在ですね。もし死んでしまったらと思ったら、やっていられるかというぐらいに大きくて。純烈を通してお母ちゃんが喜んでくれたらいいし、生きる気力というか、そういったものを与え続けられればと思っています。  紅白初出場が決まった時も、家に帰ってちゃんと話したら涙を流して喜んでくれた。僕が活躍することによって昔の友達から何十年ぶりかに連絡が来るようになったのが嬉しいようで、話していると顔色がよくなって覇気が出ているのがわかる。紅白に出られて、よかったですよね」  これを執筆している最中に、今年の紅白歌合戦出場者が発表された。おそらくすでに、白川は誰よりも早く母のもとへ連絡しているに違いない――。
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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