“フェラーリ・サウンド”すら騒音
燃費の問題もあるにはあるが、もっとキツいのは騒音規制なのでした。実は、我々がよく知らないうちに、「国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム」という見たことも聞いたこともない団体が、新しい自動車騒音規制値を決めていた。
日本はそのメンバーじゃないけれど、「国際基準にならって」ということで導入を決定。来年からは、そのフェーズ2に突入し、’22年以降はさらに厳しいフェーズ3に。ぶっといスポーツタイヤを履いてるだけで、転がり騒音で基準をクリアできなくなる可能性すらあるという!
つまり、GT-Rに限らず、全世界のハイパワースポーツカーが全滅するかもしれないのです!
最後のGT-R 2020年モデル(1082万8400円~)
50周年記念モデルのベース車両のプレミアムエディションは1232万9900円。ちなみに12年前に登場した際のGT-Rは、480馬力で777万円でした
フェラーリは、近い将来すべてのモデルをハイブリッド化する方針だが、理由は燃費より騒音だったんですね。あのカラヤンが愛し、名付けたという“フェラーリ・サウンド”すら、騒音ということで社会から排除されてしまう……。
担当K:つまり、こういうのを楽しめるのも今のうちってことですね?
永福:そうらしいよ!
最後にひと花咲かせるべく、GT-Rとフェラーリ488ピスタで加速対決をやってみました。GT-Rは570馬力、488ピスタは720馬力。さすがに720馬力の伸びは地獄のように凄まじく、スタートで前に出たGT-Rをズコーンとブチ抜いてくれました。どっちも速すぎる……。こんな狂気のパワー競争、いつまでも続くもんじゃなかろうとは思っていたが、まさか騒音規制で終了になるとは!
あの有名マンガの世界のように、自動運転車が普及しスーパーカーやハイパワースポーツカーが公道では普通に見られない時代が本当にくるのかもしれません、涙
GT-Rは消える。フェラーリはプラグインハイブリッドで生き残る(たぶん)。心配なのはランボルギーニだ。どうすんだろう……。
担当K:誰も心配してませんよ、そんなこと!
永福:まあね。アヴェンタドールは消えてもカウンタックは消えないし。
ということで、スーパーカーは今後ますます希少品となり、高騰するでしょう。GT-Rも、たぶん。
【結論!】
気づいたときはもう、終わりが近づいていたんですね。最後にひと花咲かせてくれたGT-Rよ、ありがとう! 最後のGT-R NISMO 2020年モデルは定価2420万円! でも値上がり確実! まさに最後の祭りです。
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『
そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『
首都高速の謎』『
高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中