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高級腕時計「パネライ」の“希少性が高い”モデルを一挙出し。腕時計投資のプロが「中古614万円でも“安い”」と断言するワケ

腕時計投資家の斉藤由貴生です。今回は、希少性が高い腕時計を紹介しようと思っているのですが、その存在こそが初期リシュモンの時代に存在したパネライ限定モデルの数々であります。 早速「初期リシュモン」という時計マニアじゃないとわからないようなワードが出てしまったわけですが、パネライは1993年に高級腕時計を一般向け売り出し、1997年にリシュモングループ入りした経緯があります。 リシュモングループ入りする前/後ということがパネライの価値に重要な要素となるのですが、そうなると「古ければ古いほど評価される」ということになります。ですので、リシュモングループ入りする前のパネライや、初期リシュモンといった時代のモデルは価値が高いわけです。

評価が高いパネライは型番で判断可能

ダイヤ文字盤のPAM00030

現在、パネライは「ルミノール」や「ラジオミール」、「サブマーシブル」「ルミノールデュエ」といった様々なモデルを展開しており、型番もPAM02000番台まで存在する状態。1997年にリシュモングループ入りしたパネライは、PAM00001という型番から始まったのですが、それが2000番代まで達してしまったというのは、いろんなモデルがありすぎて、「どれがどれか分かりづらい」といえるでしょう。 しかしながら、「評価が高いパネライ」は、コツを掴めばすぐに把握することが可能。先のようにパネライの評価の高さは、「古さ」ですから、PAM00150ぐらいまでの型番において、価値が高いモデルの可能性があるといえます。また、リシュモン以前の型番は全く異なる(例:5218-205/A)ため、ひと目で違いがわかります。

評価高となる要素

パネライの「高評価」を決める要素は、ざっくり3つ。1つが、リシュモングループ入りする前に販売された、いわゆる「プレヴァンドーム」という世代。これは、新品時の定価が30万円程度だったのに、現在の評価では200万円以上といった状態になっています。そして次が、発光塗料が「トリチウム」という点。これは、初期リシュモン世代の一部に見られるのですが、1999年の途中まで作られた個体の発光塗料に「トリチウム」が採用されており、数があまり多くないため高値となっているのです。 ちなみに、同じ型番、例えばPAM00001の場合発光塗料が「ルミノバ」の個体は現在50万円程度ですが、「トリチウム」となると120万円といった相場。「トリチウム」という違いだけで、価値が倍以上となっているのです。 「トリチウム」は、1998年頃まで各腕時計ブランドで採用されていた発光塗料でありますが、放射性物質であるため、2000年頃までに各社が採用を廃止。その頃から、日本の企業が開発した「ルミノバ」が一般的となっています。 トリチウムは、経年劣化による「独特の焼け」が、現代の価値観では「格好良い」とされているのですが、その“焼け”が軍用時計であるパネライと相性抜群。また、トリチウムの時期においてパネライは今ほどメジャーな存在ではなかったため、生産数も少なく、希少性の高さも評価されているといえます。 そして3つ目の評価ポイントが「限定モデル」であります。高級腕時計の限定モデルは、ブランドによって“評価される場合”と“そうでない場合”があるのですが、パネライの場合は“評価されることが多い”といえます。 というのも、初期リシュモンの時期において、パネライは他のブランドでは考えられないぐらい、尖ったモデルをいくつも作ったから。最もわかりやすいのは、PAM00021というモデルなのですが、なんとこれ、ロレックスのデッドストックムーブメントを搭載しているのです。 当時も今も、新品として売られる高級腕時計にデッドストックのムーブメントを搭載するなんて、あまり例がないわけですが、それをパネライというメジャーブランドが実施しているのがなんともツボであります。 また、デッドストック系以外の限定パネライとして、「ダイヤ」という要素を含むモデルも重要。他のブランドの場合、通常文字盤とダイヤ文字盤とで、中古相場の差が“ほぼ無い”ということもあるのですが、パネライの場合はそうでありません。例えば、ダイヤ文字盤であるPAM00130の現在相場は約207万円~といったところですが、それに対応する通常モデルともいえるPAM00112は44万円ぐらいで程度の良い個体を買うことができるのです。つまり、パネライにおいて「ダイヤ文字盤」は、なんと通常モデルに対して約4.7倍といった相場なのです。

裏蓋から見えるロレックスのムーブメント

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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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