更新日:2019年12月06日 10:29
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閉店続くデパート業界が自滅したわけ。渋谷PARCO、銀座SIXも今は好調だが…

アリババが仕掛ける「デジタル百貨店」

 こうした百貨店の低迷はお隣の中国でも同様だが、’17年にアリババに買収された中国の大手老舗百貨店チェーン「銀泰(インタイム)」は様子が違う。企業の経営戦略やマーケティングに詳しい田中道昭氏は、躍進のカギをこう分析する。 「’18年には、インタイムに出店する各テナントの売り上げが急増し、インタイム自体も30%の増収を達成しています。その秘訣は、日本の百貨店のビジネスモデルの根幹にあった機能を、AIとビッグデータによって発展させたことにあります。オンラインモールから出発したアリババは、日本の百貨店がこれまで担ってきた、テナントの集客と販売を支援する機能に大きな関心を持っています」  アリババ傘下にはユーザーの過去の決済履歴から個人の信用をスコア化する「芝麻信用」など、オンラインショッピングモール「タオバオ」、タクシー配車アプリ「DiDi」など無数のサービスを提供する企業がある。ここから日ごとに得られる消費者の膨大なビッグデータを、アリババはインタイムのテナントに開放しているのだ。 「このデータを活用すれば、アパレルメーカーは、潜在顧客層の趣味嗜好などから、どんな色やデザインが好まれるのかを細かく特定していくことができるわけです。従来の商品開発のやり方では、定価で売れる商品が4割程度でしたが、このビッグデータをAIで解析するという方式により8割になったそうです」  こうして各テナントの商品開発力を強化するとともに、アリババは各テナント向けにオンライン店舗を構築している。リアル店舗は顧客の体験の場と捉え、気に入った商品が見つかれば、あとはECで買ってもらうという算段である。  もはや“おもてなし”の精神では上がり目はない。大胆な改革をしなければ、この状況を打開することは難しそうである。
デパート

※写真はイメージです

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復活のカギは?
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