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セ・リーグ新人王を獲得した村上宗隆の足跡。高校時代は強打のキャッチャーだった

 日本プロ野球の今年のセ・リーグ新人王は東京ヤクルトの高卒2年目野手・村上宗隆が受賞した。36本塁打&96打点を筆頭に数々の高卒2年目以内、未成年での打撃記録を塗り替えた実績が評価された形だが、多くのプロ野球ファンは今季のこのブレイクに“村上って何者?”と思うのではないだろうか。  そこで今回は高校時代の村上の足跡を、栄光と挫折を交えて辿ってみたい。

入学直後に即4番&県予選最初の打席で超ド級の満塁弾デビュー

 2015年に高校進学した村上は熊本の強豪・九州学院に入学。するといきなり4番&ファーストのレギュラーの座を獲得に成功。さらに甲子園をかけた夏の熊本県予選の初戦。東稜戦の初回での第1打席であまりにも鮮烈なデビューを飾っている。  なんと満塁弾を放ったのだ。しかもその一打は中堅までの距離が約121.9メートルと国際試合開催規格を有し、プロ野球界でも“本塁打が出にくい野球場”として有名な藤崎台球場のバックスクリーン左の芝生席に叩き込んだ当たり=推定飛距離にして120メートル超だった。  さらにこの試合で村上は4打数3安打の固め打ちで、チームのコールド勝ちに貢献している。初めての夏の県予選を最高の形でスタートした村上。このときから“持っていた”のかもしれない。

ただ一度の夢舞台で全国の壁を痛感

 村上は1年夏の熊本県予選全6試合で4番を務め、22打数9安打で打率4割9厘、1本塁打、8打点をマーク。この活躍もあり、チームは5年ぶりの夏の甲子園出場を決めた。だが、その本番で村上は全国の厚い壁に跳ね返されてしまう。  初戦の遊学館(石川)戦で、県予選同様に4番・一塁で先発出場も打っては4打数無安打。守っても3回裏に2失策を犯し、決勝点を献上してしまう。チームも3-5の逆転負け。村上にとっての初の甲子園は力を出し切れないままわずか1試合で終えることに。

早稲田実・清宮の前で高校第1号となる超ド級のホームラン

 打者・村上の最大の魅力は左打席から繰り出される長距離砲としての実力だ。そしてその魅力を語るうえで欠かせない試合が高校時代の2つの練習試合である。最初は1年5月の早稲田実(西東京)との一戦。このときの早実は同じ1年生で注目の強打者・清宮幸太郎(北海道日本ハム)が入学したばかり。  怪物1年生打者対決となったこの試合でなんと村上は高校1号となる推定飛距離130メートルの左中間弾を放っている。2つめが3年6月の慶応(神奈川)戦。国内6球団のスカウトが視察するなか、今度は逆方向となる右翼上段へまたも推定飛距離130メートルの2ラン。  この脅威の打球に当時の某球団のスカウトは「力強さだけでなく、柔らかさもあるし、1球で仕留めるのがいい」とベタ褒め。すでに村上はドラフト指名上位級の注目の強打者となっていた。
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実は高校時代は“強打のキャッチャー”だった
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