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東京五輪で化学テロが起きたら…解毒剤を注射するのは医師ではなく自衛官か

米国では“素人”でも打てる解毒剤の注射器を準備

自衛隊

自衛隊公式Facebookより

 東京五輪でサリンによる化学テロが起きなければいいですが、訴訟リスクも高そうなこの対策、なにか特別な器具を使う方法を我が国も開発してはどうでしょうか? そういう簡単注射キット開発が必要だと思います。  米国では神経ガスに対する解毒剤の注射キットを開発し、簡単に誰でも対処できるようにしています。その解毒剤注射キットは説明書きに筋肉の部位のどこに刺すのかを絵で説明しています。蓋を取ってその部位に指定時間刺したままでいれば、自動的に適切な投与スピードで薬剤が注入される仕組みです。投与速度を心配しなくてもいい分、安心できます。  米軍では医師のする点滴や注射などの仕事も衛生兵がやります。ブタなどの動物を使っての解剖や諸手当の実習も念入りに行う体制が整っています。何より、短期の訓練でもミスが少ないように道具が工夫されていることは注目しておきたいものです。

地下鉄サリン事件で被害拡大を防いだのは自衛隊の医官だった

 自衛官には防衛医大を卒業した医官がいます。医官はほかの病院とは違う教育も受けています。「CBRNE(シーバーン)」という言葉をご存じでしょうか。化学 (chemical)・生物 (biological)・放射性物質 (radiological)・核 (nuclear)・爆発物 (explosive) の頭文字を取ったものです。生物・化学兵器と核兵器のうえに、テロや有事の被害には爆発物とダーティボムという「放射性物質での汚染被害をもたらす」テロも視野に入れて5つの項目があります。  自衛隊病院の医師はそういったテロ被害への対処を勉強しています。地下鉄サリン事件で自衛隊の医官が果たした役割はあまり知られていないようですが、予算をつけて解毒剤やワクチンなどの備蓄を持ち、国家として対処できるようにすべきです。  地下鉄サリン事件が発災したとき、聖路加国際病院と東京都済生会中央病院はすぐさま外来の診療や緊急以外の手術を中止し、病院を開放しました。この2つの病院が廊下にまでベッドを並べて献身的に治療にあたったことで、多くの命が救われました。テロ対策は民間の自発的な善意と奉仕の精神は素晴らしいと思います。しかし、善意を頼みにするのではなく、国家としてしっかりと専門の部署を育てて対応してほしいものです。おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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