更新日:2023年05月15日 13:33
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深刻な人手不足に陥っている自衛隊の「リクルーター」が抱える苦悩

自衛隊

自衛隊公式ツイッターより

忘年会・新年会シーズンに考えてもらいたいこと

 さらに、さすがに元防衛政務官の鈴木貴子議員は自衛隊の地方協力本部(以下、地本)についてもよくご存じでした。自衛官のなかで唯一、自衛官募集の人員ノルマを抱えているのがこの地本の広報官です。彼らは自衛官募集のため、学校や地方自治体、隊友会や父兄会などの自衛隊関連団体の集まりに顔を出します。自衛官になりたい人や退職自衛官を受け入れてくれる企業を探す仕事ですから、できるだけ多くの人に会うためとさまざまな会合に出なければならないのです。でも、彼らには接待交際費なんてほとんどありません。とはいえ、普段お付き合いのある自衛官関連団体の忘年会や新年会に呼ばれれば断るわけにもいきません。そこで、会費としてあっちで5000円、こっちで6000円と「自腹」で支払っているわけです。これはかなりの痛いでしょう。  そもそも、自衛隊関連団体というのは自衛隊を支援するための会なのですから、「地本の自衛官」は忘年会や新年会に招待すればいいと思います。それが支援ですよね。これくらいはすぐに配慮できると思いますから、ぜひ、お願いしたいです。自衛官守る会の会合は勉強会ばかりで現役自衛官がきてくれたことはありませんが、地本の自衛官は会費なしでご招待することにします。とはいえ、飲食を伴う会はないですけどね……。  これまで、自衛官の待遇問題について知ってほしいと行動してきましたが、国会議員の先生からも情報提供がいただけるようになり、一緒に変えていきましょうという機運が盛り上がってきました。世の中には不況風が吹いています。「安定した常勤職で、これから待遇の改善が見込まれる」という職種は若い世代には絶対に必要です。その選択肢の一つとして自衛官という職種が選ばれるよう、心ある国会議員の先生方と共に来年も頑張っていきたいと思います。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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