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祝! 紅白歌合戦出場。LiSAがヒットの喧噪の中で手に入れた新しい表現

 2019年最大のヒットアニメソング、それがLiSAの歌う『鬼滅の刃』のオープニングテーマ「紅蓮華」だ。

Lisa

『鬼滅の刃』は、今年のコミックス年間売り上げランキングにおいて、首位を獲得した吾峠呼世晴のマンガを原作にもつアニメ作品。その原作人気、アニメ人気も追い風になり「紅蓮華」は7月のCDリリース以来、今なお好調なセールスを記録し、LiSAはこの曲を引っ提げて12月31日の『第70回NHK紅白歌合戦』に初出場することとなった。また12月11日には『紅蓮華』に続くニューシングル『unlasting』を発表しており、こちらもCD売り上げチャート、配信チャートの上位にランクインしている。  2011年に現名義で音楽活動を開始して以来、数々の人気アニメの主題歌を手がけ、もはやアニメソングシーンのトップランナーとしての地位を確立したLiSA。「今年の顔」の1人と呼んでまず間違いのないだろうボーカリストは『鬼滅の刃』や『紅蓮華』の熱狂と、新作『unlasting』を前になにを思うのか? LiSAの2019年を探った。

クールに眺める“すごく夢のある”紅白出場劇

——まずは『NHK紅白歌合戦』ご出場、おめでとうございます! LiSA:ありがとうございます! ——ただ、LiSAさんはデビュー当時からアニソンシンガーであると同時にパンクスを自称なさっていただけに、“The 芸能界”のど真ん中とでもいうべき『紅白』に出場するというニュースには驚きました。 LiSA:そうかもしれませんね。 ——もともとご自身の音楽活動の未来予想図やロードマップに「『紅白』出場」ってありました? LiSA:2〜3年くらい前に自分の夢になった感じですね。確かに「『紅白』に出られる歌手になるぞ」って夢を掲げてデビューしたわけじゃないし、「横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナを埋めたい」「東京ドームでライブをやりたい」っていうハコの目標しか立てていなかったんですけど、そのアリーナを埋められるようになった頃から、ファンのみんなやスタッフが『紅白』という場所を期待してくれていることをすごく感じていて。それで「あっ、私はそんなところでも歌えるかもしれないのか!」って意識するようになりました。 ——それからの3年間は長かった? それとも短かった? LiSA:めちゃくちゃ長かったです(笑)。私自身は心配性だからということもあって、あんまり期待しすぎないように知らん顔でいたんですけど、年末になるたびにみんながザワザワし始めるから。 ——否が応でも気になる、と。 LiSA:結局年末のたびに「いい報告ができるといいな」って思うようになってました(笑)。 ——今年はさすがに「本当にいい報告ができるかも」という予感がありませんでした? 7月のシングル『紅蓮華』が今もオリコン週間シングルランキングの10位前後に位置するロングセラーになったわけですし。 LiSA:正直予感は全然なかったです。もちろんアニメ『鬼滅の刃』の人気もあって、そのオープニングテーマの『紅蓮華』がヒットしたり、いろいろ盛り上がっていることはわかっていたんですけど、私はデビューのときから運がすごくよかったので。ソロデビューシングル曲の「oath sign」(2011年リリース)が、いきなり『Fate/Zero』という人気アニメのオープニングテーマに採用されて、それ以来、アニメ作品の成長というか……作品の人気が大きくなったり、評価が上がったりすると、みんなが私の楽曲も愛してくださるようになるという姿をたくさん見せてもらっていただけに『鬼滅の刃』が人気だし、今年は『紅蓮華』でいけるでしょ!」みたいな確信は得られなかったんですよね。 ——世間での『鬼滅の刃』人気、『紅蓮華』人気のにぎやかさに対して、当事者はすごくフラットというか、クールというか……。 LiSA: こんな調子なのはLiSAとしてデビューしてから今までアニメ作品や楽曲に対する向き合い方や愛情や熱量を変えたことがないからかもしれないですね。「人気アニメの曲だからがんばらなきゃ!」とか「『鬼滅の刃』の曲だから!」とか「ノンタイアップだから!」みたいなことは一切考えない。ライブで目の前にいてくれる人たち、CDや配信音源を買って聴いてくれる人たち、アニメを楽しみにしている人たちに向けて常に全力で曲を作っているつもりなので。 ——だからこそ、いい意味で「紅蓮華」もディスコグラフィの中の1曲にすぎなかった、と。そんな中『紅白』出場のオファーがあったときってどんなお気持ちでした? LiSA:「すごく夢があるな」と思いました。学生の頃の私なら「『紅白』に」ってご連絡をいただいても、それこそ「大人になんかダマされないぞ!」ってパンクなことを思っていたような気もするんですけど(笑)、今はLiSAにかかわってくれる大人がたくさんいることや、その人たちがみんな、私の楽曲や、それがテーマソングになったアニメ作品にピュアで大きな愛情や労力を注いでいることを知っていますから。そしてその大人たちと私の思いが多くの人たちに届いた結果、『紅白』に出していただけることになった。だから私自身も「いい売れ方をしているな」という気がしています。

ニューシングルの表題曲にビックリ

——そして『紅白』出場に先駆けて、今月ニューシングル『unlasting』をリリースなさっていますけど、まず表題曲にビックリしました。

2019年12月のニューシングル『unlasting』

LiSA:ですよね(笑)。 ——『シルシ』(2014年リリース)しかり、LiSAさんがバラードをシングルの表題曲に据えることは今回が初めてではないんだけど、「シルシ」ってすごくドラマチックなバラードだったじゃないですか。 LiSA:なのに「unlasting」ときたら(笑)。 ——楽器や音の数をギリギリまでシェイプしていて、すごく抑制の効いたポストロックテイストに仕上がっている。サビになったら音数が増えるのかな? と思っていたら……。 LiSA:ベースとかキック(バスドラム)とか、ローの音が重たくなるだけ(笑)。 ——そういう楽曲なんだけど、10月に先行配信された瞬間、いろんな配信サイトのランキング1位に輝いた。こういう野心的な曲が売れているのってすごくいいことだと思うんです。

アニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』。(「unlasting」のジャケット写真)

LiSA:この曲は『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』というアニメのエンディングテーマなので、実は曲の作り方自体は、これまでのアニメタイアップ曲とそんなに変わらないんですよ。アニメがすごく暗いストーリーなので、その暗さに対してデジタルな音も使いつつ寄り添おうとしただけ。アニメ作品に対してちゃんと愛情を注ぐっていう意味では今までどおり120%の力をもって臨んだだけなんですけど、LiSAのことが好きな人たちにはどう響くのか? っていう点では若干不安ではありましたね。
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悲しさと寂しさを背負って叫ぶ「今日もいい日だっ」
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LiSA『unlasting』

●CD
【初回生産限定盤・通常盤】
01. unlasting
作詞:LiSA/作曲:草野華余子/編曲:堀江晶太
02. ハウル
作詞:LiSA/作曲:HIDEO NEKOTA/編曲:江口亮/ストリングスアレンジ:石塚徹
03. KALEIDO
作詞:田中秀典/作曲:小南泰葉/編曲:江口亮・Pablo a.k.a. WTF!?
04. unlasting -Instrumental-

【期間生産限定盤】
01. unlasting
02. ハウル
03. Chill-Chill-Dal-Da
作詞:田淵智也/作曲:伊秩弘将/編曲:江口亮・Pablo a.k.a. WTF!?
04. unlasting -TV ver.-


●DVD
【初回生産限定盤】
・「unlasting」(ミュージック・クリップ)

【期間生産限定盤】
・テレビアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』non-credit ending-

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