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祝! 紅白歌合戦出場。LiSAがヒットの喧噪の中で手に入れた新しい表現

2020年も信じてくれる誰かを裏切らない!

——傍目にはデビューから約10年、順調にキャリアを重ねているように見えていましたけど……。 LiSA:いや、余裕なんてなかったし、今だって余裕綽々っていうわけではないですね。 ——『紅白』出場アーティストになっても? LiSA:余裕はないです。確かに学生の頃なんかは「テレビに出ている芸能人って人気もあって、おカネもあって、いいウチに住んで、いいクルマに乗って、いい時計を付けてっていう感じで、余裕で暮らしているんだろうな」と思っていたんですけど、いざ自分もテレビの世界にお邪魔させてもらうようになったら、全然違っていましたし。テレビに出るっていうことは大勢に見られることになるし、その人たちからたくさん評価されることになるからこそ、みなさんキチンとなさってるんです。
——となると、その舞台に頻繁にお声がかかるようになったLiSAさんは今後また新しいなにかと戦ったり、悩んだりすることになりそう? LiSA:そうなんだと思います。どんな立場になっても、きっと一生余裕なんて生まれないし、ずっとなにかに悩み続けるんでしょうね。だからこそ「今日もいい日だっ」って言っていたいのかもしれない。 ——で、シングルの初回生産限定盤と通常盤のカップリング2曲目の「KALEIDO」は、ヒップホップライクなビートに乗せて〈心配しないで ボクがまもるから〉〈ずっといたい キミと〉と優しく歌いかけるナンバーです。 LiSA:これは「ハウル」とは逆で、今の私から長く応援してくれている人たちや最近好きになってくれた人たちに向けてストレートに「ありがとう」って歌おうと思って作りました。 ——……が、この曲の作詞はLiSAさんじゃない。田中秀典さんです。 LiSA:私は素直に「ありがとう」って言えないな、って思って(笑)。さっきの〈悲しい〉〈寂しい〉と直接歌うのに勇気がいった話と似てるんですけど、自分で感情をストレートに伝えようとすると、なんか伝わらない言葉しか出てこない気がしたんです。だから自分が思っているファンの人への気持ちや思いの丈を手紙のように書いて、ヒデさん(田中)に送りつけさせてもらいました。「代わりに書いてください」って(笑)。 ——いつ頃、ファンに〈心配しないで ボクがまもるから〉って歌おうと思えるようになりました? LiSA:ホントに最近です。ちょっと前までは「燃え尽きたならそれまでのこと、」と思っていたというか、「Catch the Moment」という曲(2017年リリース)では〈あと何回キミと笑えるの?〉って歌ってみたりしていますし。もしも誰からも見向きされなくなっても自分が傷つかないようにするための言い訳という意味でも、終わりを予感させるような歌を作りがちだったんですけど、ここでもまた心配性が顔を出しまして……。 ——なにが心配になりました? LiSA:「今、応援してくれている人たちが『LiSA、本当にいつかいなくなっちゃうの?』って思ってたらどうしよう」って(笑)。で、ちょうど『紅蓮華』をリリースした頃、自分の未来にちょっと確信が持てるようになったから「これからもちゃんとずっといるよ」って言っておきたかったんです。私の10年はホントに余裕のない10年というか、いっぱい失敗をしてきた10年だっただけに、それでもいつも味方でいてくれたみんなや、これからそんな私の新しい味方になってくれるかもしれない人たちの期待には応えたいですから。

Lisa

——そして期間生産限定盤のカップリング2曲目の「Chill-Chill-Dal-Da」の歌詞なんですけど……。 LiSA:すごいですよね(笑)。 ——〈生活は難しい〉という、誰もが気付いてはいたけど口にしたことはなかっただろうパンチラインから始まり、その後も〈なんかママはうるさいし〉〈勉強とかできない〉〈おいしいもの食べたい〉とまくしたてているし、なんだこの曲は? と(笑)。 LiSA:まず作曲の伊秩弘将さんのグッドメロディがあって、その曲に、江口さんとPablo a.k.a. WFT!?さんという、ロックを知り尽くしている人たちに存分に遊びまくったダンスアレンジを施してもらいまして。それを聴いたとき、なんとなく「あっ、この曲では、デビュー当時からお世話になってる田淵センパイ(田淵智也 / UNISON SQUARE GARDEN)に、ただただ言いたいことだけ言ってもらおう」っていうアイデアが浮かんだんです。そしてセンパイに「日頃の鬱憤を一気に晴らすような、それでいて楽しく歌える歌詞にしてください」ってお願いしたら、“勉強とかできな”くなってました(笑)。 ——なるほど(笑)。あと伊秩さんとのお仕事は……。 LiSA:去年リリースしたベストアルバム(『LiSA BEST -Day-』)用に作った新曲「WiLL~無色透明~」ではじめてご一緒しました。 ——ここまで名前を挙げてきた作家陣からもわかるとおり、LiSAさんって基本的に同世代から10歳年上くらいまでの比較的若いクリエイターと仕事をしてきていますよね。 LiSA:はい。 ——対する伊秩さんは渡辺美里さんやSPEEDのプロデューサーでもあった方。大御所中の大御所です。 LiSA:だからベスト盤のときは「私が歌を歌い始めるきっかけを作ってくれたSPEEDのプロデューサーさんに曲を書いてもらいたい」っていう “記念”みたいな意味でご一緒させてもらったんです。でも伊秩さんってすごくフレッシュでピュアな姿勢で音楽を作り続けている方なんですよ。スタジオにいるだけで「あっ、この人本当に音楽が好きなんだな」っていうのが伝わってくるし、大御所ぶってもいなくて。私がなにかを提案したら「LiSAがそうしたいなら、そうしようか!」ってフットワーク軽く乗ってくれるし、「LiSAにはこんな曲も似合うと思うよ」ってデモをたくさん聴かせてくださったりもしますし。だから伊秩さんは、その比較的若いクリエイター陣の中に飛び込んで一緒にLiSAを作ってくださる方。大先輩なんだけど、こっち側の人なんです(笑)。 ——最後に『紅白』出場後、2020年はどうしましょう? LiSA:どうしましょう?(笑) ——LiSAさんを知る人の数がさらに増えるから、賞賛も批判も今まで以上に飛び交うことになる気がしますけど……。 LiSA:正直不安はないですね。以前だったらその状況に翻弄されて、いちいち傷ついていただろうけど、今は目の前に信じてくれている人たちが大勢いるし、『紅白』で私を知って信じてみようかなって思ってくれる人たちもきっといるはずですから。やっぱりその人たちを裏切らないようにしたいなって意識しかないです。 ——ホントに状況に巻き込まれませんね。 LiSA:心配性だから浮き足立てないんです(笑)。 <取材・文/成松哲> LiSA(リサ) 6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ『Angel Beats!』の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム『Letters to U』でソロデビュー後は「oath sign」や「crossing field」などのヒットを連発する。2014年1月の日本武道館公演以降は、横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナ、幕張メッセ国際展示場、富士急ハイランド・コニファーフォレストなど、国内の大会場でライブ活動を展開するほか、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「氣志團万博」などの国内大型音楽イベントに出演。海外ツアーも積極的に行っている。また2018年には『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』というベストアルバム2タイトルを発表し、5月21日漬けのオリコン週間アルバムチャートで1位2位を独占。さらに2019年4月下旬に配信した楽曲「紅蓮華」はオリコン週間デジタルランキングで2週連続1位を獲得。“平成最後の1位”と”令和最初の1位”に輝いた。そして同年12月11日にはシングル「unlasting」を発表し、また同31日には『第70回NHK紅白歌合戦』に出場する。
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LiSA『unlasting』

●CD
【初回生産限定盤・通常盤】
01. unlasting
作詞:LiSA/作曲:草野華余子/編曲:堀江晶太
02. ハウル
作詞:LiSA/作曲:HIDEO NEKOTA/編曲:江口亮/ストリングスアレンジ:石塚徹
03. KALEIDO
作詞:田中秀典/作曲:小南泰葉/編曲:江口亮・Pablo a.k.a. WTF!?
04. unlasting -Instrumental-

【期間生産限定盤】
01. unlasting
02. ハウル
03. Chill-Chill-Dal-Da
作詞:田淵智也/作曲:伊秩弘将/編曲:江口亮・Pablo a.k.a. WTF!?
04. unlasting -TV ver.-


●DVD
【初回生産限定盤】
・「unlasting」(ミュージック・クリップ)

【期間生産限定盤】
・テレビアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』non-credit ending-

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