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国税OBが語る「知られざる国税職員」の実態。マルサより怖い部署がある?

国税職員もノルマで動く普通のサラリーマンと一緒!?

――とはいえ国税職員はいち公務員だと思いますが、正義のためにここまで動けるというのはどういうモチベーションからなのでしょうか。 佐藤:実際に調査の現場に出ている税務署の人たちは、まずは件数をこなさきゃいけないという考えがあるので、モチベーションの維持だとかよりも、まずは年間ノルマをこなす。何年かに一回お邪魔して定点観測をするとかやっておかないと、どんどんノルマと離れていってしまうので。 佐藤氏大河内:使命感とか正義感というよりかは、普通のサラリーマンと同じようにノルマで動いている感じですか。面白いですね。 佐藤:ただ本当に朝5時に起きて夜中に帰ってきてっていう生活をほとんど一年中やっている人もいます。税務署が舐められちゃいけない、この看板を汚すわけにはいかないというプライドのもと、正直者が馬鹿を見る世の中になっちゃいけないという使命感を持っている人も大勢いるはずです。 大河内:だからこそ、時代の流れを決める一手を打ちに行ったりするわけなんですね。つるし上げる、見せしめるって言い方は悪いですが、社会への牽制的な業務も行っていると。 大河内氏佐藤:すべてのケースをゼロにはできないですからね。網から漏れている案件もたくさんあるとは思います。だからこそマルサでは一罰百戒といって、芋づる式に税務違反者を取り締まることに長けている。1か所ガサを入れると、やっぱり黒いところには黒い繋がりが絶対にあるのでそこからどんどん見つけていくとかはやっています。 大河内:国税職員の業務体質は昔から何も変わらないですか? 佐藤:僕が現役でやっていた頃は今でいうブラックでしたが、現代はライフワークバランスだとかいろんなことが叫ばれるようになって定時で帰れるとか、上司がきついこと言うと内部告発されて刺されちゃうとかがあって、どんどん緩くはなってきていますね。それがいいとか悪いとかいう議論は置いといて、昔を知る側からすると幼稚園みたいな感じに思えちゃいます。それくらい昔は厳しかったし、ここ20年で体制は全然違うということです。 大河内:やっぱり昔のほうが恐怖というか恐ろしかった気はします。調査に来た税務署の方の中には普通の営業マンみたいな方も今はいますもんね。しかも、課税の公平をと言いつつも、現場の調査では人によって結果が変わる。同じ法律なのにって不思議に思うことも多々あります。そういったもどかしさもたくさんあったんじゃないかと察しますが。 佐藤:国税職員は7月から事務年度がスタートするんですね。民間でいうところの事業年度ですけど、最初の2~3か月で結構稼げちゃったりすると、今年度はもうそんな稼がなくていいかなとか、どんどん緩くなったりする調査官もゼロではないですからね。
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国税最大の武器は…
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仮想通貨脱税

作家・橘玲氏も推薦! マルサを超える国税最強部隊「資料調査課」出身の著者が描く緊迫の金融小説が誕生。

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