国税OBが語る「知られざる国税職員」の実態。マルサより怖い部署がある?
国税OB税理士としてTV・雑誌のコメンテーターや税に関する著書を多数持ち、1月24日に『仮想通貨脱税』を出版した佐藤弘幸氏と、TwitterやYouTubeでの活動を通して税知識をカジュアルに発信する新進気鋭の税理士・大河内薫氏との対談が実現した!
「最強部隊」と恐れられた「国税局資料調査課」出身という仰々しい経歴を誇る佐藤氏と、日本大学芸術学部出身という異色の経歴を持つ大河内氏のマッチングは、どのような化学反応を起こすのか。税金や役所仕事についての本音を語ってもらった。
――歩んできた道は違えど、現在お二人は税理士として職を同じくされています。そこで今回は、国税局と税務署、そして税理士の違いについてお伺いしたいと思います。
大河内:佐藤さんは、いわゆる「元国税」「国税OB」ですよね。同じ税を扱う仕事を生業にしているので、国税職員時代のお話は僕も興味があります。
佐藤:「元国税」「国税OB」と言われても、一般の方はなかなかピンとこない方も多いと思います。むしろ、あまりいいイメージはないかもしれませんね。
大河内:確かに僕からすると国税局員には正義の執行人というイメージがありますけど、一般の人からするとなにやら怖い存在というように思われるかもしれませんね。とはいえ、例えば同じ国税職員のマルサだと、TVドラマで取り上げられたり、メディアで事件になるようなところを扱っているっていう認識はされていると思います。
佐藤:軽く経歴をお話しますと、私は東京局税局課税第一部課税総括課、電子商取引専門調査チーム、統括国税実査官(情報担当)、課税第二部資料調査第二課、同部第三課などさまざまな部署に勤めてきました。マルサというのは査察部のことで、同じ国税職員でも私が所属していた課税部、資料調査課の仕事とはまったくやっていることが違います。査察部は令状を取って強制捜査を行い、浮かび上がった案件を検察官に告発する。そして検察官は起訴をして被疑者を有罪にする。これが、究極の目的です。
大河内:TVドラマなどでは、そういうわかりやすい活動をしている査察部ばかりにスポットライトを当てられがちですが、実は資料調査課はある種マルサよりも怖い存在だと思うんですけど。
佐藤:課税部や資料調査課の仕事は行政水準の維持を行うことです。資料調査課が恐れられる理由は、査察部は令状を取るので裁判官にどこどこを捜索をすると明示しなきゃいけないのに対して、資料調査課側の任意調査では、相手方の明示の承諾があれば、調査官が調べたいことが、ほぼほぼできてしまうことにあると思います。
大河内:確かに、税法違反を行っている人からしたら国税調査官はめちゃくちゃ怖い存在ですね。
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