更新日:2020年01月30日 20:08
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国税OBが語る「知られざる国税職員」の実態。マルサより怖い部署がある?

たったの3%。光り輝くダイヤの原石を見抜け!

――佐藤さんは、「リークが資料調査課の大きな武器になる」と前著(『国税局資料調査課』)で執筆されておりましたが、実際のところ本当に有益な情報が国税局に届いたりするものなのでしょうか。 佐藤:リークの数は膨大で、だいたい1か月で紙に印刷されたドッチファイルが腕を広げても足りないくらいの数になりますね。しかもそのうち9割以上がどうしようもないネタで、「うんこネタ」って呼ばれるんですけど、全然使えないものばかり。あの奥さんはヴィトンやエルメスのバッグをたくさん買ってるから脱税しているはずだとか、旅行ばっかり行って絶対裏金を貰っているとか。あとは単純な冷やかしもたくさんあります。殺人事件のドラマみたいな四角いロボットみたいな字で「こういう情報があります」とかね。  ただ、残りの数パーセントの中には本当にダイヤの原石みたいなものがあったりするんですね。そういうのはまず当事者だけしか知り得ないような情報です。例えば別れた愛人、元妻、元経理社員あとは色々ないざこざがあってクビになった税理士。そういう方が証拠を付けて持ってくるときはほぼほぼ確定ですね。 大河内:そこをエビデンスとしてもう一度自分たちで掴みに行くってことですよね。 佐藤:そうですね。そうしないと情報提供者に身の危険が及ぶことがありますので。出してもいいと言われた場合にはもちろん出してぶつけますけど。あとはガサに入った時に現物を探します。 大河内:そこら辺って本当にドラマティックですよね。 佐藤:何も情報がなくてもやる場合もあります。売上が右肩上がりで上がっていて、申告した数字自体が低いままって言うのは上場企業とか同族会社問わず、だいたい何かやってないとおかしいですから。そういったところを狙って行くのが資料調査課の使命ですよね。  でも専門家の人たち、税理士とか公認会計士の人たちでさえその会社の実態を知るまでかなりの時間を要するものを、3日とか1週間の調査でしようと思ってもなかなか難しいのが実情です。だから、うまい調査官っていうのは100%を見ようなんて最初から思ってないですよね。イレギュラーな1%、2%の取引をどうやって見つけるかっていうのが肝になってきます。 大河内熟練の技ということですね。 佐藤:若手の人たちのなかには、最初から請求書と売り上げの元帳をみてチェックしてる人もいますが、そんなの向こうも対策しているから合っているに決まってるんですよね。あと、今はエクセルで一度吐き出しして演算式でやってる人もいますよね。収益に掛ける0.8とかやって利益から2割を抜いたり。  今は帳簿調査っていうよりも、一通りパソコンだとか会計ソフトだとかサーバー中をのぞきに行けるとかそういう技術が必要になってきています。テクノロジーの発達に伴ってどんどん巧妙化していく手口をいかに発見、取り締まっていくかが今後の大きな課題となってきていますね。  国税職員の業務について赤裸々に語ってくれた佐藤氏。同席していた我々取材班だけでなく、対談中の大河内氏でさえ目を丸くするような話が盛りだくさんだ。 大河内 薫氏 税理士。株式会社ArtBiz代表取締役。自称「日本一発信する税理士」。 Twitterフォロワー4万人超、YouTubeチャンネル「税理士大河内薫の税金チャンネル」登録者9万人超。最新メディアやSNSで知ってトクするお金と税金の話を全力発信中。スーツを着ずに”税知識をカジュアルに発信”がモットーで「お堅い、まじめ」などの税理士イメージ打破を目指す。日本では稀な芸術学部出身の税理士として、芸能・芸術・クリエイター特化型税理士事務所を経営。 著書『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(SANCTUARY BOOKS)は発売1年で6万部超のベストセラー。 佐藤弘幸氏 元国税局勤務。現税理士。プリエミネンス税務戦略事務所代表。 国税職員時代には東京国税局課税第一部課税統括課、電子商取引専門調査チーム、統括国税実査官(情報担当)、課税第二部資料調査課、同部第三課に勤務。電子商取引事案、海外事案など、大口から悪質なものまでさまざまな税務調査を担当。 1月下旬、実在の仮想通貨の脱税事件をモデルにした金融小説『仮想通貨脱税』(扶桑社)を刊行。ほか著書に『国税局資料調査課』(扶桑社)、『税金亡命』(ダイヤモンド社)などがある。TV、雑誌のコメンテーターとしても活躍している。 <取材・文/櫻井一樹 写真/八杉 和興>
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仮想通貨脱税

作家・橘玲氏も推薦! マルサを超える国税最強部隊「資料調査課」出身の著者が描く緊迫の金融小説が誕生。

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