スポーツ

「すべてが甘かった」ラグビー女子セブンズ日本代表、中村知春の後悔と決意

東京五輪、目標はメダル獲得

 東京五輪での戦いは決して楽ではない。ただ、目標はあくまでメダル獲得だという。

W杯の会場にもなった熊谷ラグビー場にある、セブンスの歴史を辿る展示。中村ら選手が企画し、展示をしたという

「自分自身にとって、選手としての1つのポイントになるとは思うので、五輪の最後の試合で国歌が聞けたらいいなと思います。自分の国で開催される五輪に出られるほど、選手として幸せなことはない。いままでは見に来てくださる方々の顔を見らながらプレーしたことなど1度もなかったので、東京五輪では見に来てくださる方々の顔を見ながらプレーしたい。  小柄な私たちが、大きくてフィジカルの強い相手にどう戦うか。日本のスタイルはパスをつなぐというか、細い糸の上を歩くようなプレースタイル。いくつものフェーズを重ねながらボールを前に運ぶアタッキングラグビーを見てもらえれば」  ホームアドバンテージを生かし、接戦に持ち込めれば、より勝機は膨らむだろう。 「昨夏にリハーサル合宿をしましたが、リオと比較しても東京の夏は本当に暑い。それが有利に働くかはわかりませんが、適応する時間が多く取れるのは確か。アタックする時間が長くなれば、それだけ日本に有利になるとは思うので、見てる方々には楽しんでもらえると思います。ひょっとしたら試合をやる選手よりも、見ている人の方が暑くて大変かもしれないですが(笑)」  リオ五輪前、中村はかつて近代五輪の創設者クーベルタン伯爵(フランス)が「五輪は勝つことではなく、参加することにこそ意義がある」と述べた言葉の真意を、理解できていなかった。  ただ、1度出場し、改めて五輪について学ぶなか、単に勝ち負けだけが大事でないことに気づかされたという。  リオでのサクラセブンズは神風特攻隊のごとく、当たって砕けた。だが、いまは違う。  一度どん底を味わったからこそ、メダルをねらいつつも、地に足をつけ、粛々と臨むだけだと中村は腹を括っている。 「すべては事前の準備で決まると覚悟しているので、まずは目の前のことを1つ1つこなしていければ。結果を出せるかは自分たち次第。でも、勝ち負けよりも、その先にもっと大切なモノがあると思います」 ●プロフィール なかむら・ちはる ’88年4月25日生まれ。神奈川県出身。法政大卒業後、’11年に(株)電通東日本に入社。中学から大学まではバスケットボール部に所属し、大学卒業前にラグビーに転向。ラグビー転向後、1年で女子7人制ラグビー日本代表に選出されると、主将として’16年リオ五輪出場、’18年アジア大会で金メダル。アルカス熊谷などを経て、’19年12月に福岡県で自ら立ち上げた女子ラグビーチーム「ナナイロプリズム福岡」のGM兼選手に就任。JOCアスリート委員。163cm、64kg 取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!
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