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父を在宅介護する娘が疲労の限界「コロナで施設が利用できない…」

 まだまだ油断できない新型コロナウイルス。その影響は“感染”せずとも一般家庭の人々にしっかりと及び始めている。妻との軋轢や育児に疲れ果てる者、帰宅難民と化す者、子供を奪われそうになる者……。今、多くの人の“コロナ疲れ”が臨界点に達しようとしている。テレビでは報じられない、名もなき被害者たちに迫る!
介護施設

※写真はイメージです

医療品不足で在宅介護が崩壊寸前の状態

 コロナ感染患者の急増でひっ迫する医療現場だが、そのしわ寄せが被介護者を抱える家族も疲弊させている。ほとんど寝たきりで要介護5の父親(70歳)を、母親と一緒に介護して今年で13年目になる熊谷愛子さん(仮名・35歳)もその一人だ。 「普段は在宅で介護していますが、月1回は医療型ショートステイを利用して介護疲れを和らげていました。それが4月に訪れたときに、“感染したら責任が取れませんから”と一方的に断られて。さらに“コロナが収束するまで利用を控えます”という念書まで書かされました。今の状況は十分理解していますが、13年間も利用してきて、こんなにも簡単に切られてしまうというのがショックでした」  要介護5の場合、在宅介護もかなりの作業量になるという。 「朝は着替えから食事に始まり、投薬とインスリン注射。そしてオムツ交換や口腔ケアなどを母親と分担しながらやっています。母の体調も万全ではないので、役所への介護関連の申請書提出や、訪問医療・ケアマネジャーとの打ち合わせは、基本的に私が対応しないといけないですね」  訪問診療で大変なのは、感染しやすい尿バルーン・カテーテルの交換作業だが、そのときに使用する医療用品不足が深刻だという。 「バルーンを交換する際には、防護服やアルコール消毒液が必需品ですが、ほとんど手に入らないのが現状。今は先生や看護師の方々もゴミ袋に近いものを被ったり、塩素スプレーで拭いたりしながら代用するしか方法がありません」  また、高齢者はコロナ感染のリスクも高いので、介護にかかる負担はより大きくのしかかる。 「もし家族の誰かが感染して父にうつしてしまったら、受け入れてくれる病院は恐らくない。前に夜中に物音がして部屋を見に行ったら、介護ベッドから落ちて頭を切ってしまったこともあるので、夜も安心して眠れない。今はただ、私が踏ん張らないといけないという思いだけで過ごしています」  孫の顔を見るのが生きがいになっている父だったが、コロナがはやり始めてからは、ほとんど会わせてあげられていないという。  介護疲れで崩壊の危険を抱える家族が日本中に溢れ始めている。 ★心療内科医・海原氏から処方箋 頑張りすぎ、いわゆる”過剰適応”という状態に陥っています。直接的な人手も不足かと思いますが、更に支援を受けられないか、情報をケアマネなどに再度確認しましょう。また、自分が落ち着ける時間を定期的に確保するよう努めます。同じように困っている人たちをネットなどで見つけ、情報交換や感情を共有するのも有効。 【海原純子氏】 ’52年生まれ。医学博士、心療内科医、産業医として活動。『男はなぜこんなに苦しいのか』、『こころの深呼吸 気持ちがすっと軽くなる』など著書多数 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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