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痴漢や万引きをやめられない人の心理とは?依存症治療のプロ・斉藤章佳氏に聞く

追い詰められたとき孤独な人ほど依存症に陥りやすい

――どういうことでしょう? 斉藤:性暴力事件を起こしたナンパサークルがありましたが、彼らはSEXした女性の数や容姿を仲間同士で競い合っていました。自分のステータスを上げるためには、本来の自分には手の届かないような女性とSEXをして、その数をこなしていくことが必要だという歪んだ価値観が彼らには共通してありますが、「男らしさとはそういうものだ」というこの社会全体が共有している価値観も影響していると思います。  摂食障害が女性に多いのは「女性は細くて美しくなくてはいけない」という社会の圧力が背景にありますし、「酒が強いほうが男らしい」という世間の刷り込みがアルコール依存症の男性を後押ししている側面もあるでしょう。 ――誰が何をきっかけに依存症に陥ってしまうかわからないのが、恐ろしいところですね。 斉藤:苦しいとき周囲に助けを求められればいいのですが、人とのつながりを持てず孤立してしまう人ほど、依存症に陥ってしまう傾向があります。そんな人たちを、問題に合った専門治療につなげたり、自助グループを紹介して回復している仲間につなげたり、時にはカウンセリングをしたり、時間をかけて根気よく関わっていくのが私たちの仕事です。 【Akiyoshi Saito】 ’79年、滋賀県生まれ。榎本クリニックにソーシャルワーカーとして長年勤務し、さまざまな依存症問題に携わる。また、小中学校での薬物乱用防止教室や、全国での講演活動にも積極的に取り組んでいる。最新刊に『しくじらない飲み方 酒に逃げずに生きるには』(集英社)がある ※5/19発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 取材・文/姫野 桂 撮影/尾藤能暢
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ、。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)、『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)
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週刊SPA!5/26号(5/19発売)

表紙の人/ 桜庭ななみ

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