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映画『プライベート・ライアン』で考えるコロナと戦うことの意味/藤沢数希

―[モテる映画工学]―
~映画『プライベート・ライアン』~
モテる映画工学

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1人の二等兵を救出するために8人が命を懸けて戦うことの意味

 日本の新型コロナウイルス禍は収束に向かいつつある。東京の感染症指定病院が患者で溢れ出し小池都知事が自粛要請をし、安倍首相が緊急事態宣言をした。そして、市民が感染を広げないために外出などを自粛した。国民は自ら街をロックダウンしウイルスに立ち向かった。  当然、休業した店舗は損失を被る。多くの企業が感染症対策のために多大な出費もした。収束には代償が伴った。このウイルスは老人や疾患を持つ人たちの命を奪っていくが、若くて健康な人の致死率は0.2%ほどと言われている。そこで疑問が持ち上がる。老人や病人の命を守るために国民はこんなに負担をしないといけないのか? 戦争映画の最高傑作の一つである『プライベート・ライアン』はその答えを見せてくれるかもしれない。  壮絶なノルマンディー上陸作戦で幕を開けるこの映画は、第二次世界大戦中に行方不明になった一人の二等兵を多大な犠牲を払いながら救出する物語だ。米陸軍参謀総長が兵士の戦死報告を聞いていると、ある母親の4人の子供のうち3人が戦死し、残る末っ子のジェームズ・ライアンも行方不明になっていると知る。ライアンを母親の元に帰すため、ミラー大尉に救出作戦を命令するのだ。大尉は7人の部下を連れ、ライアンが消息を絶ったフランス内陸部に向かうのだった。  もしウイルスに立ち向かわず敗北していたら医療崩壊し命も経済も失っていただろう。自粛による損失は必要なものだった。そして、弱い立場の人たちの命を犠牲にして守る経済には何の意味もない。経済とは命を守り、社会を豊かにするためのものだからだ。
―[モテる映画工学]―
理論物理学研究者、外資系金融機関を経て、作家。メルマガ「週刊金融日記」は読者数1万人、ツイッターのフォロワーは14万人を超える。最新刊『損する結婚 儲かる離婚』が発売中

プライベート・ライアン
監督/スティーヴン・スピルバーグ 出演/トム・ハンクスほか 1886円+税 Blu-ray発売中 Amazon Primeなどで配信中
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