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91年前の電気機関車を運転してみた。免許がなくてもOK?

―[シリーズ・駅]―
 県外移動も段階的に解除されつつある中、ドライブやツーリングの計画を立てている人も多いはず。ただし、車やバイクと異なり、電車や機関車などを一般の人が運転することはできない。  これらを運転できる「動力車操縦者運転免許」という資格があるが、そもそも一般向けではない。鉄道会社やその関連会社の社員でなければ取得は事実上困難だ。  しかし、近年は運転士立ち合いのもと、自分で本物の電車や機関車などを動かすことができる「運転体験イベント」を実施する鉄道会社や施設が増えている。
運転中の筆者

運転中の筆者(左)

 筆者は『電車でGO!』などのシミュレーションゲームで多少遊んだことがある程度だったが、本物を運転してみたい衝動に駆られ、今年2月に行われた上毛電鉄(群馬県)の運転体験ツアーに参加。ちなみに記事にするにあたって許可はもらったが、仕事抜きで参加した完全なプライベートだ。

なんと台湾からの参加者も!

運転体験ツアー会場の大胡車両庫

運転体験ツアー会場の大胡車両庫

 ツアー当日の朝、参加者は赤城駅に集合し、そこから大胡駅(おおご)に隣接する車両庫に移動。そこで開会式を行った後は、整備中の列車内を教室代わりにして講習がスタート。参加者は子供からご年配の方まで幅広く、なかには台湾から来た人もいた。
座学用のテキスト

座学用のテキスト

 テキストを見ながらこの日運転する電気機関車が動く仕組み、運転のやり方を学び、座学の後は事前に班分けされたグループごとにいよいよ実技訓練の開始だ。
運転シミュレーター

運転シミュレーター

 筆者の班は、まずシミュレーターを使っての訓練。だが、緊張とはじめての操作もあって一気に減速させてしまい、ホームの停止線よりずっと前で止まってしまった。単に運転が下手だったのかもしれないが、思っていた以上に難しい。
筆者が運転したデキ3021

筆者が運転したデキ3021

 シミュレーションが終わると、次は電気機関車の運転だ。車両基地内の片道約150メートルの線路を2往復するのだが、運転するのはかつて東急東横線で活躍したデキ3021という電気機関車。小ぶりなサイズで可愛らしい見た目だが、この車両が製造されたのはなんと1929年(昭和4年)。電気機関車としては国内でもかなり古い車両のひとつで、90年以上経った今でもイベント車両として走っているなんてスゴすぎる!  いくらイベントとはいえ、文化財に指定されてもおかしくなさそうな激レア機関車を運転できるなんて貴重な体験だ(※ちなみにイベント会場となった木造の「車両庫」は登録有形文化財)。

初の運転体験に悪戦苦闘

 運転はレバー1本で行い、シミュレーションのおかげかスムーズに発車することができたが、難しかったのがブレーキ。レバーを回して操作するのだが、位置がズレていたらしくブレーキが上手くかからずに焦ってしまった。  結局、運転士さんの助けを借りることになり、自分でなんとかブレーキをかけることができても今度は停止位置をオーバーするなど我ながらひどい出来。もしお客を乗せてこんな運転をしていたら間違いなくクレームの嵐だろう。  そう考えると、今まで鉄道の運転士について深く考えたことはなかったが、列車をダイヤ通り、かつ安全安心に運行させることは思っていた以上に大変なことなのかもしれない。
参加者だけが食べられる車庫弁

参加者だけが食べられる車庫弁

 運転体験というメインイベントを終えた後は、座学が行われた車両で昼食。用意された「車庫弁」と名付けられたソースヒレカツ丼は、運転体験ツアーなどのイベント限定で参加者に用意されるオリジナル弁当だ。味もボリュームも◎で、駅では購入できないと聞いて余計においしく感じた。
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運転体験ツアー参加者は、車両基地内の見学も可能
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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【イベント情報】
上毛電鉄『夏休み企画 電車運転体験ツアー』
開催日:7月18日(土)、8月22日(土)
参加料:小学1年生~中学生まで8,200円(※要保護者同伴)、大人8,700円(運転体験、昼食、運賃含む)同伴者3,600円(昼食、運賃含む)
詳細は、上毛電鉄ホームページをご確認ください。
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