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列車発着時しかホームに入れないモグラ駅、駅舎が傾いてみえる駅とは?

―[シリーズ・駅]―
 駅舎が独創的な形をしていたり、ちょっと変わった場所にあったりと全国各地に点在するおもしろ駅。ここでは筆者が実際に訪れた駅の中から厳選したユニークな駅を紹介したい。

駅舎が傾いているように見える

宇野駅

宇野駅

 JR宇野線の宇野駅(岡山県玉野市)は近年、全国でもここだけというトリックアートな駅として注目を集めている。
宇野駅

まるでトリックアート

 白い洋風の建物に黒い線が斜めに何本も入っているが、これにより目の錯覚を引き起こし、まるで駅舎が傾いているよう見える。そんな物珍しさもあり、駅舎をバックに記念撮影する人が多いという。
宇野駅

岡山駅から宇野駅は約50分

 ちなみに以前は普通の白壁だったが、2016年に開催された瀬戸内国際芸術祭2016の「JR宇野みなと線アート化プロジェクト」の一環として作品化。イタリア人芸術家エステル・ストッカーの手によって現在の形へと生まれ変わった。
八浜駅

八浜駅

 しかも、アート化されたのは宇野駅だけではなく、その手前の備前田井駅、八浜駅、常山駅の全部で4駅。いずれもトリックアートではないが同じアーティストの作品で、白と黒の線によって何の変哲もないローカル駅がモダンな駅へと生まれ変わっている。
宇野駅

宇野駅近くにあったアート作品

 さらに宇野駅の周辺には現代アートや彫刻など展示。瀬戸大橋や瀬戸内の島々も眺めることができ、潮風を浴びながら海沿いを散策するのは実に気持ちがよかった。

山間に架かる秘境の鉄橋駅

土佐北川駅

土佐北川駅

土佐北川駅 次に紹介するJR土讃線の土佐北川駅(高知県大豊町)は、鉄橋の中にある駅。川の上にホームが設置されている駅は、東大島駅(都営新宿線。東京都江戸川区・江東区)や武庫川駅(阪神電鉄。兵庫県尼崎市・西宮市)など都市部にもあり、そこまで珍しいわけではない。だが、鉄橋に覆われる形で島式のホームがあり、それも渓谷に架かる橋の上というのは珍しい。
土佐北川駅

ホームからは渓谷や周囲の山々が一望できる

土佐北川駅

土佐北川駅の待合室

 土佐北川駅は四方を山に囲まれた秘境駅で、停車するのは上下線ともに普通列車が1日5本ずつ(※2020年春のダイヤ改正後時点)。朝の列車を逃すと次の列車まで6時間半~7時間半待たなければならず、列車を乗り継いで行くのはなかなか大変だ。
駅前食堂

駅前食堂

 高知市と高松市を結ぶ国道32号が並行して走っているので交通量は意外と多いが、近くに集落はおろかコンビニやガソリンスタンドも見当たらない。ただ、そんな山奥にもかかわらず、駅入口の階段のそばに『駅前食堂』なるお店がポツンと一軒家状態で営業している。哀愁と旅情が漂う田舎の食堂といった趣で、いかにも『孤独のグルメ』に出てきそうな感じだ。  地元の山菜や自家栽培の野菜などを使った郷土料理やと味がよく染みたおでんが名物で、四国ではツーリングやドライブ中に立ち寄る人気スポットにもなっている。  目の前の川も見事な渓流で、景色を眺めているだけで癒される。途中下車するだけの価値がある場所だ。
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列車発着時以外はホーム立入禁止?
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