お金

消費者金融3社からの電話が鳴りやまない借金地獄。万策尽きた僕は…

 じわりじわりと支払いのペースが遅れ、徐々に左ペコ右ペコのスパンが短くなり、とうとうどの会社にも間に合わない段階がやってきた。2ヶ月前の分を支払い、先月の分を遅らせる。終わりが始まった。  カード会社への対応も段々と苦しくなっていく。 「今週、いや、来週明けに払えるんで!」と言っていたのが、「今月末でなんとか……」になり、 「今2万あるんでとりあえずこれでもう少し待ってください……」と萎れていく。  この時の財布の中身は3,000円ほどで、3日ほど働いて2万円を作って払う。この3日間の間にまた別の会社から催促の電話が来て、同じことを言う。  これを繰り返すと1日あたり3万円用意しなければ間に合わない段階になり、アルバイトでは到達できないので、気づくとパチ屋に向かっている。オペレーターのお姉さんとの約束を守るために戦うことを選んだのだ。  27歳。妻も子供も彼女もいない。ただ、声だけで繋がっているオペレーターのお姉さんとの約束を守るためだけになけなしの金をパチンコや競馬に突っ込む。最後まで諦めないのが漢だろう。猛暑の中、近所のパチンコ屋に向かう僕は、高校球児だった頃を思い出していた。目を閉じるとそこは県で一番大きな球場で、僕はセミの大合唱を応援歌にしながらバッターボックスに向かって歩いている……。  何度も言っているが、このケースで勝てる人間はほとんどいない。  三球三振、三振。バットにかすりもせずに球場を後にした。一回だけではない。競馬も競艇もオートレースもやってみたが、令和になってからの僕は本当に弱い。  オペレーターのお姉さんとの約束はついぞ果たせず、働いた金も消えた。勝負に行ったのは後悔していない。諸々の支払い先がこれ以上待てないと言うのだ。間に合わせるためには戦うしかない。戦って、負けた。僕がまだ高校球児ならみんな同情の涙を流してくれただろうか。  コツコツ働いて返すしかないのかもしれない。僕は現実の前に屈した。  8月、僕はかなり働いている。だが催促の電話に出ることはなくなった。支払いを済ませて財布の中身が空になっている時に1日3回も、 「働いて返すんで3日待ってください」  と答えるのに疲れてしまった。と言うより、3社からかかってくる時点でもうバイトでは足りなかった。連日もらう15,000円は、その日の夜か翌朝に消える。その状態で催促の電話に出て同じ話をするのに耐えられなくなった。  無心でバイトに行き、金をもらい、返す。ただこれのみ。「もう少し待ってくれ」の言葉を飲み込む。催促の電話には出ないが、僕の背中を見てくれ。 「時間はかかるけど最後にはキッチリ払います」  そうたしかに書いてあるだろう……。
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弱者に与えられた最後の武器、Youtube
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