エリート感満載のドイツ車。その賞味期限は何年ぐらい?
昨年登場した新型A6は、信じられないほど乗り心地がイイ。乗り心地に関しては、シトロエンのハイドロ系サスペンションを至高の存在と崇めてきたが、それをはるかに上回る極上の乗り心地だ。まさにエリート感のカタマリ! しかもシトロエンのハイドロ系サスは5年前に絶滅した。世の趨勢は明らかである。
もちろんアウディの新車など、高くて買えたもんじゃない。A6は安くても約800万円する。しかしベンツもBMWもアウディも、中古車はガクンと値段が下がる。ぶっちゃけ3年後には半額で買える。5年後には3分の1だ。それでいてエリート感は変わらない。モデルチェンジしても見た目はあまり変わらないので、新型も旧型も一般人には見分けがつかない。まさにエリート感の永久機関である。
現在、愛車のBMW320dに心底満足している私だが、5年後の愛車にA6を検討してみようかと考え、A6アバントのディーゼルモデルに試乗した。
スバラシイ!
さすが新世代のディーゼルエンジンは静かである。排ガス対策の強化で出足はちょっと悪いが、ATを「D」ではなく「S」にしておけば万全。ロングドライブでの燃費はリッター20㎞。我がBMWのリッター18㎞を上回る。そして何より進歩しているのは、自動ブレーキやACC(前車追従型クルーズコントロール)などの先進運転支援システムだ。我がBMWにも付いているが、制御の洗練度が違う。6年前のスマホと最新のスマホの違いのようなものだ。ロングドライブでは、ACCにまかせておけば超ラクチン。一度ドイツ車のエリート感の虜になった者は、その魅力から逃れられない。
よし、5年後にはA6だ! そう思って試乗を終了し、愛車BMWのエンジンをかけたところ、警告灯がパパパッと5個も点灯! 「ポーン」という警告音が5連発で発せられた。
「ど、ど~ちたの!?」
イタリア車やフランス車ならほっとけば消えるのだが、ドイツ車は消えない。本当に故障しているらしい。
思えば我がBMWも6年6万㎞。ちょうど故障したいお年頃か……。ドイツ車の旬は3歳から6歳までの3年間しかないのだろうか? まさに一瞬の夏。涙が出る。
【結論!】
イタリア車やフランス車の警告灯が点いても屁とも思わないが、ドイツ車の警告灯がいっぺんに5個も点くと、「墜落するのか!?」と感じる。やっぱりドイツ車は完璧であってこそなんですね……。1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
BMWのディーゼルからアウディのディーゼルへ。その感想は?
イタ車やフランス車と違ってドイツ車の故障は自然治癒しない!
1
2
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ