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道なき道を走る超本格派の4WDが、今売れている理由

 時速300㎞を出す性能があっても、それを発揮する場所がない。道なき道を走る性能があっても、それを試す場所がない。もちろんサーキットなど専用コースで試すことはできるけど、何かリアルじゃない……。日本にいると、そんなに速いクルマも悪路に強いクルマも必要ないと思うのですが、そんな過剰な性能を持っているクルマが、今とっても売れているのです!
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JEEP WRANGLER

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

本格派4WDジープで、本物のオフロードを走ったら、いったいどうなるのか?

 スズキ・ジムニーがいまだに買えない。売れすぎて生産が追い付かず、新型の発売から2年もたつのに、まだ納車待ち1年以上! ジムニーは超本格派のオフロード4WDで、本来超マニアックなクルマなのに!
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ジムニー

 同じく超本格派オフロード4WDのジープ・ラングラーも絶好調だ。1年半前に新型が登場したときは、「先代より値段が100万円近く上がったから、さすがに売れ行きは落ちるだろうな」と思ったのに、逆に上がったんだから信じられない。昨年はラングラーだけで4873台を販売。都会派のチェロキーやコンパスを抑えて、ジープブランドの4割近くがラングラーだった!  確かに世の中、本物志向になっているのでしょう。頻発する災害に備える気持ちもあるのかもしれません。SUVはなんとなく災害に強そうで、「守ってくれそうでカッコイイ」と女子にも人気だが、なかでもラングラーみたいな超本格派オフロード4WDは、見た目からして別格。なにしろ本物なので。
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悪路をオラオラ走るジープ・ラングラーは頼もしいのひと言につきます。スキーがうまい男がゲレンデでカッコ良く見えてしまう、あれです。でも、スキーうまい男はゲレンデ外では意外にフツーですが、ジープはゲレンデ外でも女子にモテます

 でも、この日本には本物のオフロードがほとんどない。こういうクルマが災害に強いというのもイメージ的なもので、実際の災害時には、前にフツーのクルマが立ち往生してたら、どんなクルマもそれ以上進めない。瓦礫を乗り越えて逃げられるわけじゃないのだ!  私はオフロード趣味がまったくないのですが、その最大の理由は日本にはオフロードがないから。有料のオフロードコースはあるけど、箱庭みたいなもの。「フェラーリだって走るところないだろう」とよく言われるのですが、加速には制限がないので、オフロード4WDよりは実用的だと思っております!
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箱庭じゃない本物のオフロードを用意してくれました!
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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