更新日:2020年09月11日 21:46
ニュース

総裁選の3氏、党内での意外な“ひとがら評価”を元自民党職員が語る

「首相を目指すなら敵はつくってはいけない」

 菅陣営の選挙態勢にも義理人情に厚い菅氏の特徴が出ているという。 「菅の選挙対策本部長は、無派閥の小此木八郎。父・小此木彦三郎の秘書から菅は政治活動のスタートを切った。その原点・小此木への恩を忘れていないということで、子息の八郎となったのでしょう」  菅氏が師と仰ぐ梶山静六は竹下(登)派の七奉行の1人。田村氏は「かつて竹下登は、首相を目指すなら『敵は作ってはいけない』と言い、さまざまな政治家に自らできる協力を惜しまなかった。そうした現場にも私は遭遇しています。菅も『Go To キャンペーン』など難しい政策をやり遂げる剛腕で知られながらも、敵が少ない」と話す。
田村重信氏

政治評論家、元自民党政務調査会調査役

石破氏が国民に人気でも、党内で不人気なわけ

 一方で国民の人気が高い石破氏は、党内ではなかなか支持が広がらない。 「理屈っぽい性格の石破には敵が多い。そして自民党で一番敵にしてはいけない安倍首相まで敵にした。  2014年、第2次安倍内閣が発足したとき、石破は新設された安全保障法制担当大臣の要請を蹴った。たしかに集団的自衛権に対する考え方は安倍首相と違うかもしれないが、安全保障に詳しい石破の協力がなかったため、国会答弁で大変苦労していた安倍首相を周りは見ています。  同じ党の人が困っていても石破は助けてくれないという思いから、自民党の政治家は石破の実力は高く評価するが、ついていきたいとは思いません。ただ石破はマスコミの依頼は断らないし、取材に丁寧に答える。これが石破の外と内の人気格差の正体。もう少し石破が党内の仲間に気配りができていれば、総裁選の風向きも変わっていたかもしれません」  総裁選は、始まる前に雌雄決していたのだろうか――。 <取材・文/村田孔明> 【田村重信】 政治評論家、元自民党政務調査会調査役 1953年、新潟県栃尾市(現長岡市)生まれ。拓殖大学政経学部卒業後、宏池会(大平正芳事務所)を経て、自由民主党本部に勤務。現在は、日本国際問題研究所客員研究員、拓殖大学桂太郎塾名誉フェロー、JAPAN STAR ENTERPRISES特別顧問。7月に新刊『気配りが9割』(飛鳥新社)を出版
1
2
おすすめ記事