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<純烈物語>ファンの聖地の焼き肉店の女将が明かす、純烈の唄が心に染みる理由<第62回>

<第62回>彼氏を作ることも許されなかった若き頃 純烈の唄が染みるルーツはそこにあった

八起女将さん

「焼肉八起」の女将・唐澤時子さん

「純烈さんの連載なのに、あたしのことをそんなに詳しく書いたって誰も喜ばないわよ!」  取材中、「焼肉八起」のおかみ・唐澤時子さんに何度となく言われた。だが、店にいったことがある読者ならばわかっていただけると思われる。  その話術は単に元気があるだけでなく、ひきだしから持ってくるエピソードのチョイスが実に長けていることを。だからそれらがつながり、物語となるのだ。  子どもの頃からさぞや積極的な性格だと思いきや、本人いわく「おとなしくフツーの子。個性なんて何もなかった」という。リーダーシップをとって周囲を引っ張るどころか、どちらかというとグループ行動が苦手で一人でいる方が好きだった。  そうした性格を形成するにあたり、親の方針による影響が大きかったと言える。「女は女子校にいき、花嫁修業をして嫁ぎにいくもの」という昔ながらの価値観で教育。そこから少しでも逸脱した行動でもとるや、すぐに正座させられ1時間の説教を食らった。  実家が技術系の商売をやっていたこともあり、本人は商業高校へ進みたかったのだが許されず。両親の思惑通り、女子校へ進学する。そこでダンス部に入るも「女の園は性に合わなかった」。仲間で何かをなし遂げる協調性よりも、個人競技の方が向いていると思い弓道部に編入、これが学内における唯一の楽しみとなった。

男子と会話しただけで呼び出しをくらう

 ただでさえ高校生で彼氏を作るなど、とんでもなかった時代である。通学時の電車で、同じく家が商人の息子とたまに顔を合わせると、着くまでの20分ほど他愛もない会話をした。すると、次の日に学校で呼び出された。 「トッコ、おまえ昨日、男と電車で喋っていただろう」  ツイッターで晒されるような世の中ではなくとも、その手の噂話がひとり歩きするのは今も昔も変わらない。微塵も後ろめたさを見せることもなく、時子は事実と認めた上で「それの何が悪いんですか?」と言い返した。  そのうち授業開始の鐘がなり「もう始まるから教室へ戻れ」とうながされるも「いえ、ちゃんと理由を説明してもらうまではいきません」と退かず。最終的には先生の方が根負けし「まあいいから」という感じでなだめられた。 「そんな時代だから、学生の身分で男と女が手をつなぐなんてとんでもない。今思うと、あたしが純烈さんの唄に惹かれるのって、若い頃は許されなかったことの反動なんじゃないかな。惚れた腫れただけじゃなくて胸の痛み、ぎゅうってくるせつなさにあたしは純愛を感じちゃうのよ。そういう物語の方に陶酔してしまって究極の愛っていいわと思うの。  自分がするかっていったらしないよ。だけど唄の世界ならばいいじゃない。純烈さんの唄はすごく深いものを持っているのにそれをきれいな言葉で表してくれる。ネガティブなものも絶対に汚い言葉が入っていないの。それが乙女心を持っていた頃のあたしに戻してくれるのかもしれない。ときめき、あこがれ、素敵だな……そこから先にいくんじゃなく、そういう思いを抱かせてくれる詞に嘘がない。それって、女子校に通っていたから染みるのかもしれないね」  多感期の頃、恋愛をするにはさまざまな壁があった。もしも共学に通って彼氏ができていたら、ここまで純烈に共感していなかったのかもしれない。
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女性カメラマンという夢を抱くも…
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焼肉八起(やきにくやおき)
神奈川県相模原市南区相模大野6-19-25
http://www.yakiniku-yaoki.com/
AM11:00~PM1:00
PM3:00~PM10:30
L.O.)PM10:00 ※日曜日はPM.9:30
休=月・火曜
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