スーパー戦隊シリーズ:アメリカや韓国では社会現象に
現在のウルトラマンシリーズと同様、あるいはそれ以上に世界中の国々で人気を集めたのが、スーパー戦隊シリーズをローカライズしたパワーレンジャーシリーズだ。
1993年夏からアメリカで放送を開始した第1作『Mighty Morphin POWER RANGERS』は、1992年から放送された『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(テレビ朝日系)のアクションシーンを流用し、ドラマパートをアメリカのキャストで撮影、差し替えるという手法で制作された。放送開始後は、子ども向け番組の最高視聴率を塗り替え、クリスマスに玩具の品切れが続出するという社会現象を巻き起こしたという。
2017年にはパワーレンジャーシリーズ第1作のリブート映画が公開(画像は『劇場版 パワーレンジャー』TOEI COMPANY,LTD.より)
また、日本では2013年に放送された『獣電戦隊キョウリュウジャー』(テレビ朝日系)の韓国での人気も凄まじく、韓国人キャストによる完全新作の続編『獣電戦隊キョウリュウジャーブレイブ』が制作されたほどだ。
仮面ライダーシリーズ:アメコミ映画監督もファンを公言
スーパー戦隊シリーズと同様に、仮面ライダーシリーズもアメリカでローカライズ版が制作されている。
1995年には『仮面ライダーBLACK RX』(TBS系)をベースにした『マスクド・ライダー』が、2009年には『仮面ライダー龍騎』(テレビ朝日系)がベースとなった『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』が放送された。だが、パワーレンジャーシリーズほどのヒットとはならず、シリーズ化はされなかった。
日本語吹替版では過去の仮面ライダーシリーズに所縁のあるキャストも出演(画像は『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT BOX VOL.1』TOEI COMPANY,LTD.より)
しかしながら、海外の仮面ライダーファンは決して少なくないようで、2020年7月に英語字幕つきで仮面ライダーシリーズ作品が配信されると発表された際には、「#KamenRider」がTwitterのトレンドに入るほど話題に。またそのとき、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などを監督したジェームズ・ガンが反応し、仮面ライダーへの熱い思いをツイートしたことも注目を集めていた。
ゴジラシリーズ:ハリウッドでシリーズ展開中。まさに永遠のスター
厳密にヒーローと呼べるかどうかは論が分かれるところだが、ゴジラシリーズも第1作『ゴジラ』を海外向けに再編集した『怪獣王ゴジラ』が1956年に公開されて以降、海外でも広く愛されている作品だ。
1998年には初めてハリウッドで制作されたゴジラ映画『GODZILLA』が公開された。しかし、従来のゴジラ像からはかけ離れていたためか、ファンの間では評価が分かれることとなった。
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2014年に公開された二度目のハリウッド産ゴジラ映画『GODZILLA ゴジラ』は、全世界で530億円もの興行収入を記録。2019年にはゴジラ以外の人気怪獣も登場した続編『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が公開され、2021年5月にはキングコングと戦う『ゴジラ VS コング』の公開が予定されている。
人造人間キカイダー:ハワイで記念日が制定されたヒーロー
これまで紹介してきた有名なシリーズ以外にも、海外進出を果たして人気を集めたヒーロー作品が存在する。日本では1972年から放送された『人造人間キカイダー』(テレビ朝日系)もそのひとつだ。
左右非対称で赤と青に分かれたビジュアルはインパクト抜群(画像は『人造人間キカイダー Blu-ray BOX VOL.1』TOEI COMPANY,LTD.より)
『人造人間キカイダー』は、仮面ライダーシリーズを生み出した漫画家の石ノ森章太郎と映画会社の東映がタッグを組んで生み出された特撮作品。アメリカ・ハワイで1974年に『KIKAIDA』のタイトルで放送された同作は平均視聴率26%を記録し、初回放送から約30年後の2002年には、州知事によって“キカイダーの日”が制定されるほどの熱狂的な人気を獲得した。
――ウルトラマンシリーズがYouTubeなどを利用した同時配信で注目を集めたように、これからも現代ならではのアプローチ法を味方につけ、世界中で支持を集めるヒーローが現れるかもしれない。<文/佐久間翔大(A4studio)>