──EE JUMPは「ハロー！プロジェクトではないものの、同じつんく♂ファミリー」という立ち位置でした。当時はモーニング娘。やミニモニ。が国民的存在となっていたので、感慨も格別だったのでは？ ソニン：う～ん、でも私としてはハロプロ本体とはまた別枠だったし、女性アイドルじゃなくて、男女混合ユニットでしたから。事務所の場所も違うから、ハロプロのメンバーと普段会うこともなかったですし（笑）。それよりも自分が注目される立場であるということを理解するのに時間がかかりました。 ──ちょっと前まで一般人だったわけですからね。 ソニン：上京したのが2000年の1月で、デビューしたのが同じ年の10月。その間に『笑う犬の冒険』（フジテレビ系）の出演も始まっていたし、自分を取り巻く環境が急激に変わっていったんですよ。本当にジェットコースターに乗っている感覚でした。とはいっても、芸能人になったからといって調子に乗るようなこともなかったです。 　周りの大人たちは「オリコン5位に入った！」とか盛り上がっていましたけど、こっちはそれがどれくらいすごいか理解できていなかった。テレビ出るのがどれだけ大変なことか、あの頃は想像もできていなかったです。考えていたのは、「振付を間違えないようにしよう」とか目の前のことだけでしたから。 ──自身も芸能人としてファンに夢を与える立場となり、そこで気づいたことはありました？ ソニン：アイドルも悩むんだなぁって（笑）。仕事の現場で他のアイドルと一緒になると、あんなにキラキラ輝いて見えた子たちも、それぞれ苦い思いを抱えているんですよね。ファンのときは「芸能人は特別な存在」という考えがあったんです。最初から綺麗だし、最初から才能がある状態で生まれてきたのだと信じていたけど、もちろんそんなことはなくて……。 　そのことに気づくと、他のアイドルを「ライバル」じゃなくて「同志」だと思えるようになったんですよ。それは役者をやっている今も変わらないな。たとえ事務所が違っていても、やる側の当事者じゃないとわからない苦悩ってありますから。 ──意外ですね。デビュー当時のEE JUMPはそれこそキラキラ輝いていて、苦悩とは無縁の存在に見えましたが。 ソニン：いや、でも周りのスタッフはやっぱり「売れてほしい」「いいグループになってほしい」という期待があるわけですよ。そこに応えられているかといったら、やっぱり全然ダメだなという悩みがありました。 　今思うとEE JUMPは恵まれた環境にあって、デビュー前のレッスン期間からニューヨークでレッスンを受けたり、日本でもリズムを鍛えたりしていたんですね。だけど自分としては、技術が全然足りないなと落ち込むことが多くて。 ──つんく♂さんや和田さんからの叱咤激励も多かったのでは？ ソニン：つんく♂さんや和田社長からは本当にいろんなことを教えてもらいました。すべてを教わったと言ってもいいかもしれない。自分にはどういう特徴があって、どんな強みがあるのか？　そういう客観的な視線って、普通に学生をやっていたら持てないじゃないですか。 　たとえば「君は本当に生まれつきの声がいい。ご両親に感謝しなさい」と言われる。そこで初めて自分の武器に気づくようなところがあって。それとは逆に自分の直すべき点を指摘されたことも当然ありました。当時のことを知る方からは「過酷なことばかりやらされていましたよね」って言われることが多いんですけど、すべてが社会勉強でしたから。 　結局、そこで「断る」「逃げる」という選択を取らず、つんく♂さんや和田社長を「信じ続ける」という判断をしたのは自分自身。そして間違いなく言えるのは、当時、教わったことが今の自分にとって大きな糧になっているということなんです。