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手書きの『ほぼ日手帳』が20年愛されてきた理由とは? 糸井重里氏を直撃

「何が新しいか」よりも「何をいいと思うか」。そして「何が好きか」

ドラえもんやちびまる子ちゃんなどのカバーも登場

2021年版は、ドラえもんやちびまる子ちゃんなどのカバーも登場

――そんな「手書きの良さ」をもっと知ってもらうために、どういった働きかけをしたいと考えていますか? 糸井:20年経ったからといって「古いね」と言われないのはすごくうれしいこと。『ほぼ日手帳』は、僕らにとってもメディアなんです。メディアの上にどういうコンテンツを載せるかなっていうのは、毎年お客さんも期待しているから。  ただ、新しいことをやるかどうかについてはあんまりこだわっていないんですよね。それよりは「新鮮に感じるか」かどうか。「今年のリンゴも美味しいよ」っていうような、リンゴ農家と同じですね(笑)。そういう手帳であり続けたいです。
吉田カバンとコラボした「ほぼ日手帳」。バッグと手帳が一体化

吉田カバンとコラボした「ほぼ日手帳」。バッグと手帳が一体化

「紙の手帳を使ったことがない」という若い人も増えていますが、僕らは「どうやったら使ってくれるようになるかな」というのは、そんなに考えなくてもいいって気持ちもあるんです。スケジュール帳のデジタル化が進み始めた頃は「これから手書き手帳の文化は消える」と言われていました。  腕時計だってデジタル表示ものが出てきた時、みんな「これからはデジタルの時代になる」と思って、いったんはそっちのほうに向かったんですよね。ところが、今はアナログ表示のものを使っている人が多い。  つまり、人間がもともと持っていた認識の方法は簡単になくなるものじゃないということ。「何が新しいか」よりも「何をいいと思うか」。そして「何が好きか」。そこに行きつくんです。デジタルのおかげで良くなったことは全部享受すればいい。そのうえで、デジタルにはないアナログの良さを見直せていければいいなと思っています。 【糸井重里(いとい しげさと)】 株式会社ほぼ日 代表取締役 社長。1948年生まれ。コピーライターとして数々の広告を手がけ、作詞、ゲーム制作など多岐にわたって活動。1998年に『ほぼ日刊イトイ新聞』を創刊、2001年には『ほぼ日手帳』(2002年版)を発売。近著に『かならず先に好きになるどうぶつ。』(Hobonichi Books)など。 文・写真/櫻井れき 写真/ウォンバット北村
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