手書きの『ほぼ日手帳』が20年愛されてきた理由とは? 糸井重里氏を直撃
コピーライターの糸井重里氏が主宰を務めるウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」が企画する『ほぼ日手帳』は、2002年版の販売開始から今年で20年目となる。
現在も75万人ものユーザーに愛されている『ほぼ日手帳』。デジタルのスケジュール帳が全盛の時代に、手書きの手帳が根強い人気を誇る理由を伺った。
――最初の発売が2002年版。すでに世の中はデジタル時代に移り変わっていました。その中で、あえてアナログの手帳を出そうと思ったきっかけは何でしょうか?
糸井重里氏(以下、糸井):当時はまだ、今みたいに1人1台パソコンを持つという時代ではなかったし、デジタルのスケジュール帳はまだ一般の人たちに“道具化”されていませんでした。スケジュールや自分の記録・記憶を管理するには、紙の手帳のほうが自然でしたからね。
――2010年あたりでしょうか、スマホが出てきて一気にデジタルが一般化されて。しかし、そこからまた10年間も毎年『ほぼ日手帳』を出されています。購入者層はどういった感じの方々なのでしょうか?
糸井:30代がずっとピークにいます。世代的に言えば「いちばん活発に活動している人たち」ですよね。20年前の30代は今もう50代ですが、年齢が移動してもそのまま使っている人が多いので、年々ユーザーは増えています。
――今の30代というのはいわゆる「デジタルネイティブ」の世代ですよね。その層が『ほぼ日手帳』を知るきっかけとは?
糸井:データで見たわけじゃないんですけど、口コミの部分が強いようです。「たのしそうに使ってるじゃん。それ何?」っていう問いかけから始まって、ユーザーがLOFTの売り場に連れて行ってセールスマンをやってくれるんですよ。それはとても助かりました。
――公式サイトを知らずに、手帳から入ってくる人たちもいるんですね。
糸井:けっこういます。だから僕が「『ほぼ日刊イトイ新聞』というのをやっています」と言った時に、時々「あ、あの手帳の?」って言われることも(笑)。
――ユーザーはどういう使い方をされていますか?
糸井:スケジュール管理だけではなく、日記的な要素を大事にしている人が多いと思うんです。「今日は何があった、何食った、誰とどうした。今日行ったところのチケットを挟んでおこう。パンフレットやお箸の袋なんかも貼ったり……」といったように。
日記のほか、スクラップにネタ帳など、人それぞれです。「へえ、こんな使い方があるんだ」と思います。とてもシンボリックに言うと、服とかバッグとかと同じように、“自分をあらわす持ち物”として手帳を使っているリピーターが多いなと感じます。
――渋谷PARCO「ほぼ日曜日」で開催していた「ほぼ日手帳新作発表会」では、いろいろなモノを挟んでものすごく分厚くなったヘビーユーザーの展示がありました。
糸井:あれはもうその人の「部屋」ですよね。『ほぼ日手帳』はユーザーによってはバッグでもあるし、大きなタンスでもありますね。それだけ自分が1日1日をどういう風にこう過ごしたかは、自分だけは知っているわけで。
「今日これ美味しかったよね」とか「お母さんの友だちに道で会ってこんなことを言われた」とか。大したことじゃないんだけど、後で見返した時に嬉しい・懐かしいことっていうのはものすごくいっぱいあって。「手で書く」ことはものすごく大事だと思います。
デジタルの時代になっても、『ほぼ日手帳』のユーザーは年々増えている
手帳は、服やバッグと同じように“自分をあらわすもの”
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