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妻が雇い止めでローン返済ができない。6300万円のマンションを購入した40代の後悔

ボーナス8割カットでリフォームのローンが…

 また、アパレルメーカーに勤める林泰明さん(仮名・48歳)も「ボーナス8割カット」され、ローン破綻の恐怖に怯える日々を送る。 「2020年1月、脳梗塞で足にまひが残る母のために2世帯で住む自宅をバリアフリー化したんです。その際に間取りや内壁もリフォームし、かかった費用は1600万円。15年ローンで月々の返済は8万円ですが、年2回のボーナス支給月は返済額を35万円に設定していたんです。  ボーナスが8割もカットされれば到底支払える額ではない。母が倒れてからの治療費も負担していたので、貯金は微々たるもの。ボーナスが減ることは、まだ家族には告げられていません」
[ローン破綻]の現実

林泰明さん(仮名・48歳)

 移動に苦労する母の部屋に手すり付きの専用トイレを設置。「喜んでくれた母の顔を思い出すと胸が苦しい……」と林さんはいう。 「ここまでしたのに、母を連れて家を出ることになるかもしれない」 ▼林 泰明さん(仮名・48歳 アパレルメーカー/既婚) 年収750万円 ローン残債 1500万円 ボーナス払い 35万円

ローン返済猶予措置の期限切れ

 ボーナス払いをしている人は約4割ともいわれ、林さんのように多くの人が返済に苦慮することが予想される。さらに、榊氏はコロナ禍で多くの人が頼りにした「ローン返済猶予措置の期限切れ」が冬にくることも顕在化の理由に挙げる。 「金融機関に相談して返済期間の延長や猶予に応じてもらえても、その期間は概ね6か月。そこまでに再就職や家計の財政状況が立て直せなければ、回収不能とみなされ自宅は任意売却するか競売にかけられます。返済猶予の承認件数が急増したのは5~6月。まさに11~12月に期限を迎える第一陣がいて、家を失い路頭に迷う人が続出し始めるでしょう」  マイホームという人生最大の買い物に不可欠な住宅ローン。しかし、それによって人生を大きく狂わせられる人が続出する時代が、もうそこまできている。
住宅ジャーナリストの榊淳司氏

住宅ジャーナリスト・榊淳司氏

【住宅ジャーナリスト 榊 淳司氏】 ’80年代後半から、30年以上マンション分譲を中心に不動産業界に関する分析や情報を発信。近著に『コロナパニック最前線 不動産大暴落がはじまった』(宝島社) <取材・文/週刊SPA!編集部>
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