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ボーナス激減でローンが返せない…… 「応急処置」と「予防策」を専門家に聞いてみた

 コロナ失業や収入減により、ローンの支払いに困窮する人がかつてないほど増えている。マイホームの差し押さえに自己破産……。ローン返済が滞れば、これまでの日常は瞬く間に崩れ去る。新型コロナによって顕在化した「ローン破綻の落とし穴」はどこか?
マイホーム差し押さえ

(写真はイメージです)

“ボーナス払い”をアテにしている家庭は特に要注意

 ローン破綻が急増するなか、多くの人が頭を悩ませているのが支払い額の大きい住宅ローンだ。「フラット35」を手がける住宅金融支援機構には、ローン返済の一時猶予や見直しを求める相談が殺到。返済猶予が承認された件数は5月時点で2265件。コロナ以前の2月と比べると151倍にのぼっている。  そんななか、住宅ローン破綻のリスクがもっとも高いのは、ボーナス払いでのローン返済を設定している家庭に他ならない。すでにJTBは冬のボーナスをゼロにすることを発表。またオリエンタルランドは7割削減、公務員に関してもボーナスを引き下げる公算が大きいことが報じられている。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏はこう語る。 「夏のボーナスは前年10月から3月までの業績が反映されるため、コロナ禍でも支給された企業も多くありました。しかし冬のボーナスは、業績が悪化した4月から9月が対象。さらに今後、コロナの感染状況がどうなるか先行き不透明ななか、人件費を削りたい多くの企業がボーナスを削減、もしくはカットすると予想されます。特に大企業は、年収に占めるボーナスの割合が高い傾向があります。そのため、この冬のローン破綻のリスクは、極めて高いと言わざるを得ません」

【応急処置①】返済に困ったら「延滞」ではなく「相談」

 ボーナス払いを設定している人は約4割とも言われ、今冬は多くの人が返済に苦慮することが容易に想像できる。では、ボーナス減に直面したとき、どうすればいいのか? 黒田氏が提示する「応急処置」は次のとおりだ。 「まずは借入先の金融機関にいち早く相談して、返済方法を見直すことです。返済見直しの相談をすることは、かつての貸し剥がしのイメージも相まってハードルが高く感じる人もいるかもしれません。普段、融資を受けることに慣れていないサラリーマンならなおさらでしょう。  しかし各金融機関には、『リーマンショック時のような破綻者を新たに出さないように』と金融庁から返済猶予などの要請を受けており、コロナ禍で危機的な状態と言える現在は丁寧にヒアリングをしてくれることが期待できます。具体的にはボーナス返済月を変更して、後ろにずらし、その間に準備をする。また返済の内訳を変更して、ボーナス返済の金額を減らすやり方もあります。いっそこのタイミングでボーナス返済を取りやめるとするのも一つの策ですね」  しかし、返済期間の延長は慎重に行いたい。 「現在の住宅ローンの金利の低さや物件価格の高騰から、最長35年返済で、めいっぱいローンを組んでいる人も多く見られますが、最初から35年フルでローンを組んでいる場合、返済期間の延長は現実的でありません」 「2019年度 フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構発表)によると、近年、利用者の平均年齢は上昇傾向にあるという。’19年度は平均40.2歳で、35年返済なら単純計算でも完済できる年齢は75歳となる。そこからさらにローン返済期間を延ばしてしまうと、ローンが返し終わるのが先か、寿命が尽きるのが先か、わからなくなってしまうので注意したい。
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収入が減ったなら、支出の見直しも急務
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週刊SPA!をはじめエンタメからビジネスまで執筆。Twitter :@AkeMin_desu

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