更新日:2020年11月05日 12:38
カーライフ

ホンダeは大丈夫?EV選びの肝は見せかけの航続距離ではない

ホンダeは空冷?水冷?

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リアにモーターを搭載する後輪駆動のホンダeには154馬力の「Advance」(495万円)と136馬力の「ベースグレード」(451万円)の2タイプあり。電子ドアミラーのためクルマのサイドに突き出たドアミラーがありません

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ホンダe

 そんなときホンダが発売したEVがホンダe。これの冷却装置は空冷なのか水冷なのか。リリースを見ても書いてないけどどっちなのか? 「水冷式です。低温時のヒーティング機能もあります」(開発陣) オートクラブ そ、そーなんですね! じゃなぜそれを声高に謳わないんだろ? そこがEVのキモなのに!  日産が来年発売する新型EVのアリアも、同じく水冷式を採用するという。空冷式のリーフを売ってる日産がそれを喧伝できないのはわかるが、ホンダはもうちょっとアピールすべきじゃないか。

同じ水冷でも違いが…

 さらに聞くと、ホンダeの水冷システムはラジエター方式。つまり外気温よりは冷やせない。一方テスラのそれは、バッテリー冷却水をエアコンの冷媒で冷やすシステムなので、外気温より下げられる。  バッテリーにとっての最適温は20度前後で、60度以上になると劣化が進む。テスラは気温50度のデスバレーでも冷やせるが、ホンダeはちょっとヤバくなるかもしれない。そういう差はあるけれど、でもまあ水冷式ならよしとしよう。ホンダの開発陣も、「バッテリー交換は想定してません」と自信を見せていた。それだけでホンダeは「買い」だ!
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専用アプリを使えばスマホをデジタルキーにでき、ドアの開錠・施錠のほかクルマを起動すること(EVなのでエンジンないけどエンジンかけるようなこと)もできます。また「OK、ホンダ」と呼びかけると、充電スポット検索などが行えます

 しかし問題もある。ホンダeは価格が高い。バッテリー容量35.5kwhの通常グレードで451万円。対するリーフは40kwhで332万円~。55kwhのテスラモデル3(スタンダードレンジプラス)は511万円だ。相対的に見て、ホンダeには価格競争力がない。  しかもホンダeは、当面の日本への販売割り当て台数(年間だと1000台)を売り切っているので、しばらく買えない。もともと、全世界で年間1万台ぽっちの生産計画だ。テスラは今年全世界で50万台近く売る勢いだから、それに比べたら大河の一滴。ここから追い上げるのは至難の業。F1撤退もむべなるかな。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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