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紙の広告はオワコンなのか?朝日新聞の広告をバズらせた舞台裏を聞く

 コロナ禍で多くの業界が苦しんでいる中、広告市場も大打撃を受けている。  広告業全体の売り上げ(前年同期比)は、2020年7月=19.8%減、8月=17.7%減。なかでも落ち込みがひどいのは、前年の4割以上減った「雑誌」、次いで「新聞」(7月=33.8%減、8月=24.8%減)だ。(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」)  そもそもこの10年ほど、インターネット広告が右肩上がりなのに対して、“紙の広告”は減る一方。2019年の広告売上は、インターネットが初の2兆円超え、新聞は4547億円、雑誌は1675億円だった(電通「日本の広告費」)。

もう紙の広告はオワコンなのだろうか?

新聞広告賞 そんな中、新聞とネットを組み合わせたある広告が、今年9月に「第40回・新聞広告賞(新聞社企画・マーケティング部門)」を受賞した。昨年話題になった「朝日新聞×左ききのエレン」プロジェクトだ。  そこで、このプロジェクトを実行した、朝日新聞社メディア・ディレクターの田浦孝博さんと、気鋭のクリエイティブ企業「The Breakthrough Company GO」の五十嵐麻衣さんにインタビュー。2人が感じる、新聞広告の可能性を聞いた。
田浦さんと五十嵐さん

朝日新聞社の田浦さん(左)と、GOの五十嵐さん

<『左ききのエレン』(著者、かっぴーさん)は広告業界を描いた人気マンガで、主人公は「目黒広告社」に勤めている。Webサイト「cakes」と「少年ジャンプ+」で連載され、コミックスも14巻ある。 「朝日新聞×左ききのエレン」プロジェクトは、メガネのJINSの広告を、架空の目黒広告社と実在のGOがコンペする、という書き下ろしマンガだ。  昨年9月にまず「cakes」でマンガ前編を掲載し、翌日、朝日新聞2面分をフルに使ったマンガ本編内で2社の案を明かす。そして、Twitterでユーザーからどちらの案がいいか投票してもらい、勝った案を11月に全面広告として朝日新聞に掲載したのだ。>
朝日新聞2020年11月8日

朝日新聞2019年11月21日にドーンと見開きで載ったマンガ本編

「新聞広告をバズらせる」という仕掛け

――新聞広告賞受賞おめでとうございます。これは初めから狙っていたのでしょうか? 朝日新聞・田浦さん(以下、田浦):毎年「新聞広告の日」(10月20日)を意識して、プロジェクトを行っているんです。これまでの新聞広告は、クライアントの情報をわかりやすく1回でお伝えすることを考えてきました。  しかし昨年は、SNSで拡散したり、メディアに取り上げてもらったりして話題化する広告にチャレンジしたいと思ったのがきっかけです。そこで、デジタル上で話題にすることの知見がある「GO」さんに相談をし、企画のアイデアを出していただいたのです。 朝日新聞 左ききのエレンGO・五十嵐さん(以下、五十嵐):朝日さんから相談が来たときに、「読者は広告が作られていく過程がわからないよね」という話になって、じゃあそれをマンガにしてしまおうと決まりました。  ちょうど『左ききのエレン』がすごく話題になっていて、作者のかっぴーさんとも繋がっていたので、すぐにご相談をしたんです。ただ15段(新聞一面分)で、「いい商品ですよ」と言うよりは、どういう商品なのかを考えていく経緯が描かれているので、深い理解に繋がっていると思います。 田浦:2019年10月18日にリリースを出して、SNSでツイートを始め、19日にcakesでマンガ前編を掲載し、20日に新聞見開きを使ってマンガ本編を掲載。特設サイトも作ってTwitterにてリツイート投票を募集した…という流れです。  WEBと組み合わせるクロスメディアは今までもやっていましたが、マンガとコラボして、ここまでストーリーを作っていくのは初めてのチャレンジでしたね。投票は2300件超、企画全体で1000万imp(インプレッション、ユーザーに表示された数)となりました。
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ネット世代から見た新聞の“シズル感”とは?
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