更新日:2020年11月19日 10:57
ライフ

紙の広告はオワコンなのか?朝日新聞の広告をバズらせた舞台裏を聞く

メディアは組み合わせれば新しいことができる

――今はSNSやWEBに素人が安く広告を出せる時代です。新聞広告の強みってなんでしょうか? 五十嵐:企業の姿勢を示すのには、信頼性が高い媒体である新聞が一番いいなと思っています。どれだけいいことを言っていても、WEBだとちょっと弱い。  とはいえ、情報を若い人に届けたいなら、新聞とデジタルとの組み合わせが強いと思います。今、面白い新聞広告だったら、紙面をスマホで撮影して、SNSにアップする人が増えているんです。それが1万リツイートになることもある。  ただし、デジタルの反響や拡散って、クライアントに対して「何回リツートされます」とか数字は握れない(約束できない)んです。握れないけれども、「この企画だったらいけるだろう」と信じて、一緒にやろうと言ってくれる企業さんにはすごく有効な手段です。 田浦:メディアが増えている中で、新聞広告がクライアントの選択肢に入ることが大事だと思っています。GOの代表・三浦崇宏さんに「新聞広告は世界一高いけれど、世界一効果があるプレスリリースだ」と言っていただいて嬉しかったですね。オールドメディアと言われている新聞ですが、使い方によってはすごく面白い制作物ができるし、本気のテーマで発信できる。  クライアントからすれば、新聞広告は金額的にかなり思い切った意志決定が必要になるのですが、新聞に出してリーチを広げつつ、SNSで拡散される可能性のある企画を一緒にやっていきませんか、という提案をしていきたいです。 ――広告に限らず、WEBと紙で違うスタンスや見せ方があるのでしょうか? 田浦:WEBのほうがアクセス数などデータがすぐわかるので、PDCAは回しやすいかもしれません。一方で新聞広告は「ダイナミックさ」が一番です。この大きさのものを、毎朝、何百万人もの自宅に届けられる媒体は他にないと思うんですよ。 五十嵐:今、メディアの組み合わせがとても大事だと思うんです。テレビだけ、新聞だけ、ネットだけではなく、どう組み合わせるか。新聞も、使い方を決めつけないで、いろいろな可能性を模索したいですね。

今、広告は嫌われているけれど…

――昨年11月に、朝日新聞とGOで「ブランドニュース」というチームが立ち上がりましたね。「社会課題解決型の新聞広告」を作っていくそうですが、どういう趣旨ですか?
ブランドニュース

ブランドニュースのリリース

五十嵐:今、広告って嫌われていますよね。でも広告は本来、いい社会を作るために使うこともできるはず。「ブランドニュース」ではそういう広告を作っていくために、社会派の広告クリエイターの方々に、企業の枠を超えて集まってもらっています。
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ライター・編集、少女マンガ研究家。スタッフ全員が何らかの障害を持つ会社「合同会社ブラインドライターズ」代表。著書に著名人の戦争体験をまとめた『わたしたちもみんな子どもだった 戦争が日常だった私たちの体験記』(ハツガサ)などがある

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