更新日:2020年11月19日 10:57
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紙の広告はオワコンなのか?朝日新聞の広告をバズらせた舞台裏を聞く

「MEET YOUR BOOK」プロジェクト

田浦:新聞社としては、広告でも社会的なメッセージを発信していきたかった。  このチームでの広告第1号は、今年7月の「MEET YOUR BOOK 私の人生を変えた一冊」というプロジェクトです。コロナ禍で本屋さんが厳しい状況にあるなか、読書を推進しようというものです。  40人の作家・著名人・インフルエンサーなどに、推薦図書とひとこと書評を寄稿してもらって、7月11日の朝日新聞に全面広告を出しました。協賛は、日本図書普及と出版社16社です。  そして、一般の人に「あなたの人生を変えた一冊」をTwitterにあげてもらったんです。 meet your book五十嵐:ここに登場している40人の方は、ネット界のインフルエンサーもいれば、作家も編集者もいます。有名な芸能人を起用するだけだとそれで終わってしまうんですが、「自分も投稿できそう」と思えるような人選にしています。 田浦:今後は、SNSにどう広げていくかという知見を、弊社内にも貯めていきたい。新聞×デジタルの事例を増やして、新聞広告の価値をいろいろと示していきたいですね。 ――先ほど、「広告は嫌われている」と言われましたが、そう実感しますか? 五十嵐:そうですね。特にネット広告って、求めていないときにどんどん表示されるじゃないですか。しかも「無料キャンペーン中!」「1000円でお試し」みたいな、クリエイティブを入れてない広告がすごく多い。  少しでも面白いクリエイティブのものを作って、広告自体が嫌われないようにやっていかなければ…と思います。

今、ネットでバズるセオリーはあるか

――最後に、ネットでバズるセオリーみたいなものはあるでしょうか。 五十嵐:ひとつは、今の情勢と組み合わせるのが重要かなと思います。今は、コロナによって、みんな気持ちが弱っているので、共感とか優しいメッセージが響きますね。  たとえば、今年10月に、風邪薬の広告で「風邪の時は、お家で休もう」というコピーがバズりましたよね。今までは「風邪薬を飲んでがんばろう」的なメッセージだったのが、変化したと。「風邪なら休もう」って、めちゃくちゃ普通のことですけど、今はそれくらいマイルドなメッセージが効くんです。  もうひとつは、議論を生ませることです。100%ポジティブな反応っていうことは、ほとんどない。「なぜこれを発信したのか」という思いや強いメッセージを打ち出していれば、多少ネガティブな反論があっても共感を生めると思うんです。 <取材・文/和久井香菜子>
ライター・編集、少女マンガ研究家。スタッフ全員が何らかの障害を持つ会社「合同会社ブラインドライターズ」代表。著書に著名人の戦争体験をまとめた『わたしたちもみんな子どもだった 戦争が日常だった私たちの体験記』(ハツガサ)などがある
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