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空室だらけの投資物件に2億円…“スルガ地獄”に堕ちた不動産投資家の生還劇

自分が“出口”であることに気づく

 しかし、戸建て投資で得られる数万円の家賃では、サラリーマンを辞めるのは難しいことから、融資を受けて行う1棟投資にシフトチェンジ。その結果、1年後には30代前半にして3棟のアパートオーナーになった。 「当時はとにかく融資がジャブジャブ出ており、借りられて当然の認識でハイレバレッジ投資の怖さをわかっていませんでした。ただし2棟目・3棟目の物件をスルガ銀行の融資を受けて買った瞬間に4室の空室が出て、月20万円の利益を手にするはずが、1円も儲からない現実に気づいて愕然としました」  と、KENJIさんは当時の心境を語る。 「今思えばカーテンスキームという空室の物件を満室に見せかける手口に騙されていたのかもしれません。空室を埋めるためにリフォーム費をかければ赤字になるし、これ以上空室が増えても赤字になります。そこで大家の会に参加して空室対策を学ぼうとしたら、自分が先輩大家さんたちの“出口”であることを知ったのです」  物件価格が高騰しているということは、売却には有利なタイミングであり、安く買った物件をスルガ銀行を使って高く売るのが当時のトレンド。先輩大家たちが儲かる裏側には、自分のような業者のいいなりになって物件を買ってしまう情報弱者がいることに気付いたという。
スルガ物件

購入当初は1円の利益も出なかった岐阜県郊外のアパート

投資の世界で情弱はカモにされる

「投資の世界では情弱はカモになります。まさしく私は情弱でカモでした。自分が誰かの出口だった事実に気づいて、最初は茫然としていましたが、それじゃダメだと考え直しました。売ったところで借金が残るだけ。なんとか空室を埋めて、さらに利益が出る物件を買うしかないと思いました」  しかし、すでに現金を使い果たし、融資も目一杯借りている状態。そこで1棟目に現金購入した戸建てを売却して軍資金をつくることにした。ところが、このなけなしの資金を別の投資で溶かしてしまう。 「戸建てを400万円で売却しましたが、利回り50%の怪しい投資に300万円を突っ込んだところ、これが1円にもなりませんでした。残りの資金は100万円です。今度こそ本当に後がなくなったところで、数十万円からできるレンタルスペース投資を知って、一気に勝負をかけました」
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地獄から奇跡の生還方法とは?
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