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「副業会社員」が見落としがちな意外なリスク…経営者の建前には要注意

個人と会社の思惑をどうシンクロさせるか?

副業 筆者自身は業績の上がっていない会社の落下傘経営者をすることが主な仕事になっていました。  そうした状況において常に意識していたことは「最悪、会社がなくなってしまう、あるいは大幅な給与カットや人員整理などの局面を迎えたとしても、社員それぞれの個人は生きていけるように成長していってもらうこと、しかも短期比較的短期に――」ということでした。  必然的に個人の情熱が自然に向かう自身の価値観・成長への欲求の方向と、会社自体の成長の方向とがどうリンクされているかを各人に意識してもらうことに腐心していました。  副業を許容する場合は、こうした個人の人生全体の願望と会社の方向性とどうシンクロさせていくかなどの個別のすり合わせが上司にとって重要になってきます。  しかし、そんなことを一人ひとりにやっていくこと自体、上司と部下という関係より少しフラットな関係で対話することが求められるのをどこか面倒くさい、難しいと捉える人が多いでしょう。

恵まれた会社ほど副業への心理的ハードルが高い

 職位が上がっていくと、若い頃は何でも歯を食いしばってやっていたことの反動なのか、嫌なことや面倒なことはめっきりやらなくなってきます。特に恵まれた会社ほどその傾向は強いでしょう。  経営者は嫌なことや苦手なことわからないことでもやるべきことはやらなければなりませんし、逆にやりたいことでもやるべきではないことはやらないという自制心がより強く求められます。  そうした至極単純なことをきちんとできることが最低限の条件ですが、意外にできないもので、それによって業績も変わってきてしまいます。  副業を許容したり、採用したりすることは、社歴のある会社の上層部の人にとっては未経験の領域になります。  そうしますと、そもそも「自分がよくわからないことはやりたくない」「よくわからない価値観を持つ人間を排除したい」という気持ちがもたげてくるものです。 「とりあえず、自分の本業を置き去りにするようでけしからんのだ!」と一蹴することは簡単ですが、冷静に向き合えって考えられるかどうかでしょう。
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フットワークの軽さも重要
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東京大学大学院工学系研究科修了後、経営戦略コンサルティングファームのコーポレイトディレクション、ダイヤモンド社を経て、産業再生機構はじめ3社の投資ファンドなどに勤務し、プロ経営者を務める。慢性的な業績悪化に苦しんでいた健康器具メーカー、事務機器メーカー、老舗の化粧品・健康食品会社において、就任初年度でV字回復、再成長を果たす

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