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STU48のライブに見たASH出身者のスゴさ

 AKB48の姉妹グループで、瀬戸内7県を拠点に活動するSTU48が1月15日、日本武道館にて「新春STU48コンサート2021~瀬戸内からGO TO 武道館~」を開催した。  ライブの約1週間前に緊急事態宣言が出されたものの、入場者数を通常の半数以下に抑え、政府の指針「人数制限5000人および収容率50%以内」の要件を満たす形で、開演時間も早めて決行。  ライブ中盤では、2月17日にリリースされる6枚目シングル「独り言で語るくらいなら」の選抜メンバーが発表されたのち、楽曲を披露した。
 サビでマイナーキーへ転調し、四拍子から三拍子に変わるトリッキーなつくりで、現代を反映したようにも感じられる歌詞など、聞きどころが多い楽曲だ。  一聴すると、思春期の主人公が、衝動的に普段とは違う電車に乗りこむところから物語が始まり、違った場所に行くことで新たな気付きを得るという、アイドルソングにありがちな“青春ソング”の歌詞のように思える。  しかし、1番のサビの〈ぶつぶつつぶやいてたって、誰が耳を傾けるんだ〉、2番のサビでは〈始めるのは語っているだけより意味あることだと思う〉〈目をつぶって、憶測で語るな 自分自身で確かめてみろ〉など、SNS全盛時代における、ただネットを通じたコミュニケーションをするだけで良いのか、という主張を感じ取ることもできる歌詞となっていた。

ASH出身者による武道館リレー

 これまでのSTU48のシングルでは瀧野由美子がセンターを務めてきたが、今作では石田千穂がゼロと呼ばれるそのポジションを担当。  彼女は、PerfumeやBABYMETALのSU-METAL(中元すず香)、元モーニング娘。の鞘師里保や元乃木坂46の中元日芽香、元アイドルネッサンスでロックバンド・赤い公園のボーカルを務める石野理子など多くの人材を輩出した広島アクターズスクール(通称ASH)出身である。  スクールで培った高いパフォーマンス力に加えて、握手会やネット配信などでのコミュニケーション力が抜群人気を博している。’19年にはAKB48のシングル表題曲で選抜に選ばれ、’20年にはソロ写真集を発売するなどめきめきと頭角を現している。  キャプテンの今村美月も同じくASH出身で、在籍当時からスクール内ユニット「SPL∞ASH」メンバーとしてTOKYO IDOL FESTIVALなど多くのイベントに出演してきた実力派だ。  この日「だらしない愛し方」「which is which?」などのダンスナンバーでキレのある踊りを披露する彼女は、ステージの上で特に目を引く存在であった。  シングルで初センターを務める石田やキャプテンの今村以外にも、多くのASH出身メンバーを擁するSTU48のパフォーマンスは今後も要注目だ。  ちなみにSTU48を含めアイドル業界にはASH出身の人材が多く、1月16日にSTU48が武道館でライブを行い、今村が〈バトンは武道館に置いてきた〉とツイート。
 バトンを受け継いだのは、指原莉乃がプロデュースする=LOVE(イコールラブ)のリーダー山本杏奈。彼女もまたASH出身者だ。
 STU48がライブをおこなった翌日の16日、〈バトン受け取りにきました。〉とツイートし、同じ武道館でライブを開催していた。  さらに19日、20日にはBABYMETALが武道館でライブをする(全10公演)など、ASH出身者たちのリレーが続いている。  このエンタメ業界において、広島アクターズスクールの育成力の高さが伺い知れる“武道館ASHリレー”が受け継がれていたのだった。  取材・文/森ユースケ 撮影/後藤 巧
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