更新日:2021年03月17日 22:16
エンタメ

<純烈物語>35万回再生!ドラマ『俺の家の話』「潤 沢」カヴァー動画にみる”本気の遊び心”<第87回>

「ねえ、俺の家の話、見てた!? 潤 沢さ、これ絶対に純烈でカヴァーせなあかんやろ!」

「マッスルも家業の金型工場を継ぐためにプロレスを引退したけど戻ってきて。しかもドラマでは復帰が家族にバレたらまずいということで、マスクを被って『スーパー世阿弥マシン』に変身するんだけど、マッスルも親バレしないようにとササダンゴになった。ネーミングからしてどんだけ坂井精機だよ!と思いながら見ているうちに、DDT協力したり(別ブランド・ガンバレ☆プロレス所属の翔太と勝村周一朗がプロレス監修)出演したりで。  不思議なことになっているなあって思いながら見ていたら、マネジャーが『TBSのドラマ班から連絡があった』って言うんです。最初は、メンバーの誰かが出演する話かと思ったら、純烈のロゴを使いたいと。それはもちろんOKだけど、それでどのドラマよ?聞いたら『俺の家の話』だとなって、なんだよ! それ、俺が見ている番組だよって」  話があった時点では、酒井だけが見ていてスタッフはピンと来ていない様子だった。だから、オンエアを見るまでは暖簾に純烈のロゴが入るぐらいの認識でいた。  潤 沢の4人(阿部サダヲ、長瀬、桐谷健太、永山絢斗)がスパリゾートハワイアンズのステージで『秘すれば花』(作詞・なかにし札[ふだ]、作曲・筒美洋平)を歌い出した直後、酒井は日本クラウンのアーティスト担当・新宮崇志に電話をかけた。 「ねえ、俺の家の話、見てた!? 潤 沢さ、これ絶対に純烈でカヴァーせなあかんやろ!」  その時、新宮は『NEW(入浴)YORK』を口ずさみながら(たぶん)絶賛入浴中で見ていなかった。酒井の勢いに押され気味となりつつ「録画はしているんで……」などと返すと、間髪入れず指令が入る。 「YouTubeにアップして笑ってもらいたいんで、そのためのカラオケ音源と正確な歌詞と、あとは振付ビデオがあるだろうからそれを集めてくれ!」  まだ潤 沢を見ていない新宮にすればなんのことやらである。とにかく思いついた次の瞬間に酒井は動いていた。  この瞬発力、行動力こそが純烈であることを新宮は何度も経験している。ただ、それを理解できた上で、酒井の熱量が尋常ではなかった。

「クドカンさんのドラマで純烈なんてあり得ん」

「俺らはクドカンさん世代だし、実は俺、たけしさんの『キッズ・リターン』のオーディションを受けていて、そこにクドカンさんも小さい役で出ているんです。たけしさんはクドカンさんに気づいていなかったというエピソードがあるぐらいの役だったんですけど、自分も最終オーディションの現場にいて、落ちたけどキッズ・リターンに出た同世代の人たちをマークしていたところがあった。  そういう人たちが今、時代を築いている。そんなクドカンさんのドラマで純烈なんてあり得んし、ハワイアンズのステージで歌わせてもらったこともあったし。そこに長瀬さん、西田さんがラストかもというニュースが目に入ってくるじゃないですか。そういう中でここまでやっていただいて、何もしないなんて俺の中ではそれこそあり得なかった」  オンエア翌日の2月27日は、東京・王子にある「ほくとぴあ」で『若手スター☆集結 大ヒット!プレイバック歌謡祭』の生配信番組に出演。その楽屋に、新宮からTBSの承諾を得られたとの連絡が入る。素材は確保できたが、問題はどこで収録するか。  最初、2日後には名古屋へ入るので御園座はどうかとなった。ものすごくデカくゴージャスな緞帳が上がり、花道がある中なら会場の色気だけでワンカメだろうがiPhoneで撮ろうが定点だろうが絵になる。  でも、引きの絵が続くだけでは4人の表情まで伝わらない。かといってそのために東京からスタッフを連れていくわけにもいかなかった。  そこで代案として浮かんだのが、東京お台場 大江戸温泉物語。ただ、緊急事態宣言中は閉館している。たとえ使えるとしても支配人から本社に話を上げて、その決裁がなければ基本的にはOKとならない。
次のページ
「大江戸温泉物語」が休日返上で応えてくれた
1
2
3
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ