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日米であまりにも異なる航空機の感染予防対策

使用する消毒液の商品名をホームページに出すと法律に抵触する!?

航空機の感染予防対策

もちろん日本の航空会社も機内の消毒など衛生管理は徹底している

 どうにも歯切れの悪い回答に思えるのだが、じつは医薬品の表示については、厚生労働省が管轄する医薬品医療機器等法(通称:薬機法で旧称:薬事法)が絡んでくる。同法内に規制される「医薬品等の広告規制について」を読むと、虚偽や誇大広告に対する規制のあることがわかる。  これについて東京都福祉保健局の健康安全部薬務課監視指導担当に取材すると、「エアラインのホームページに告知を出すこと自体に問題はないが、内容によっては規制を受けることがある」と回答を得た。つまり、商品名を出して薬効を謳うことにより、薬機法に抵触する可能性が少なからずあるのである。日系の航空会社が使用している薬品名を公表しないのは、こうした事情が絡んでいるからなのかもしれない。

船会社は全てを公開しているのだが……

 だが、同じ交通機関でも船会社の取り組みは異なる。株式会社商船三井のグループ会社である「株式会社フェリーさんふらわあ」は国内3航路を持つ貨客輸送のフェリー会社だ。この会社の感染症対策は徹底している。  ダイキン株式会社製の空気清浄機「パワフル光クリエール」を設置し、船内の抗菌・抗ウイルス施工に株式会社YOOコーポレーションの無光触媒「エコキメラ」を使用。そして、清掃除菌作業に株式会社UNISonsの技術を利用している。このUNISons社は、昨年の感染者が多数出たダイヤモンドプリンセス号の感染対策と消毒を行った専門集団でもある。 「フェリーさんふらわあ」広報担当の森氏によると「薬機法を確認したうえで製造、サービス提供会社にロゴも含めたホームページへの掲載許可を取っています」とのことである。  日系エアラインの見せ方が悪いという訳ではない。ただ、利用者はコロナ禍が長くなれば感染症対策の知識は増えていく訳であり、それに応える企業姿勢が大事なのではいだろうか。実際に機内でどのような除菌液を使用して、どのように除菌、感染症予防対策をしているかを事前に告知をすることで、より安心、安全に航空機で運航できるのではないだろうか。<文/北島幸司>
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
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