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“令和の怪物”佐々木朗希、ついに実戦デビュー「マウンドから見えた景色は素晴らしかった」

あいみょんの曲が流れ、自分がマウンドに向かう姿をイメージしていた

佐々木朗希投手

実戦デビューを終えた直後の佐々木朗希投手

 だから、世間が「ライバル」と評する同じ年の奥川恭伸投手(東京ヤクルトスワローズ)などが1年目から一軍デビューをしたことについて、「焦りはないか?」とメディアから聞かれても淡々と答えてきた。 「今の結果、今がどうこうではなくて最後にどうなっているかが大事だと思っています。だから焦りは感じたことはありません。トータルとして結果を積み重ねられるように日々、コツコツと頑張っていきたい」と。  自分の中の考え方が固まってからは、心が動くことは減った。いつも心は体の真ん中にあり、突き進む道をただ真っすぐ、ゆっくりかもしれないが一歩ずつ進むことに集中した。  選手登場曲は1年目からずっとこの曲と決めていた。人気シンガー・ソングライター、あいみょんの「今夜このまま」。プライベートでもリラックスしたい時はあいみょんと決めている。  一軍のマウンドで投げることのなかった1年目。いつかあいみょんの曲が流れ、自分がマウンドに向かう姿を考えてモチベーションを上げていた。 「登場曲、良かったですね。テンションが上がりました。あの柔らかい感じが好き。最高です。あいみょんさんのことなら1時間は語れますよ」  登板後はイメージしていた形と現実が一致して嬉しそうだった。

練習試合で初失点するも「課題が見えた」

 2度目の一軍実戦登板は雨で流れ、2日後の3月23日に横浜での練習試合での先発となった。2回を被安打2、2失点。押し出し四球と捕逸で失点をした。MAXは154km。初失点も本人は納得の表情で振り返った。「いいところも悪いところもあった。課題が見えた。一つずつ課題を克服し長いイニングを投げるようにできればと思う」と先を見据えた。  開幕は二軍発進。今後は先発として少しずつイニングを伸ばし、課題に対して丁寧に取り組みながら来るべき公式戦一軍デビューの日を目指す。 「オープン戦でも興奮したし楽しかったし、観戦に来てくださったファンの方の気持ちが伝わってきた。素晴らしい光景でした。これが公式戦になるとどうなるのかと考えるだけでワクワクします。本当にプロ野球っていいなあと改めて思いましたね」  怪物は二軍施設のある浦和球場で静かに汗を流す日々を送っている。その表情は充実感に満ち溢れている。一歩前に進めた喜び。プロ野球の魅力を肌で感じたことによる高揚感。そしてこの道の先に待っている、さまざまな出会いと出来事への期待。夢は広がるばかりだ。 文/梶原紀章
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