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6500万円のレア物も。コロナ禍で活況「スニーカー投資」で稼ぐコツ

会社設立に合わせ、2000足のスニーカーをいったん手放すことに…

 1999年に「ヤフオク!」が誕生するやいなや、村川氏もオークションに出品。サイトが出始めだったこともあり、ファッションカテゴリーの半分くらいは村川氏の商品で埋め尽くされ、飛ぶように落札されたという。  また、とあるご縁をきっかけに露天商を始めるようになり、やがて店を構えるまでに成長していった。  しかし「辞めたくなるほどの苦労も幾度となく味わった」と村川氏は当時を顧みる。 「店長の不正行為や商品をほとんどパクられた盗難…など結構色々とありましたね。当時は自分がスニーカーをコレクションしたいがために人を雇っていたので、人が育たずに信頼を欠いていたんです。自分のエゴだけだと社員はついてこないなと。そう感じたので、会社立ち上げを機に一度『コレクターとしての足を洗おう』と思った。当時持っていたスニーカーはほとんどこの時に手放しちゃいました」  スニーカーコレクターから会社の社長へ。税理士から「今の規模感だと会社化した方がいい」との助言を受け、2003年に有限会社ベクトルを半ば仕方なく立ち上げたそうだ。  今では、リサイクルショップを全国に約50店舗展開し、グループ年商50億を越える企業に成長したのである。

コロナ禍でスニーカー投資が活況に。まずは場数を踏むことが大事

エア ジョーダン1

ビンテージスニーカーとして希少価値の高い「エア ジョーダン1」

 そんな村川氏だが、なぜここにきてスニーカー投資に目をつけたのか。「コロナ禍でスニーカーの価値が急激に上がっている」としつつ、その理由を明かす。 「新型コロナで広がる経済的不安や金融危機から、富裕層を中心に資産形成の目的で金やビットコイン、アートなどを購入するトレンドが来ています。スニーカーもまた、“限定もの”や“一点もの”などのレアなアイテムの価値が急騰。投資対象として見るのに十分で、かつスニーカーは全世界にファンがいるので流動性が高い。  2020年8月にマイケル・ジョーダンが実際に着用した『エア ジョーダン1』が、競売で約6500万円で落札されたことが決め手でした。これにはさすがに驚きましたね(笑)。コレクターの血が騒ぐというか、一度やめたスニーカーコレクターの道を、もう一回目指そうと決意しました」  経営者でありながら、スニーカーコレクターとして再び歩み始めた村川氏。ずばり、スニーカー投資を始める上で知っておくべき知識や稼ぐためのコツについて聞いてみた。 「大前提として、1回でも履いたら『新品』から『中古』になるので価値が下がる。本格的に始めるなら、スニーカーを履く目的で買うのではなく、“投資目的”で買うこと。ただそれだとハードルが高いと思う場合、まずは『コレクターと商売の両方を意識する』といいでしょう。  例えば、普段履きながらオークションサイトやフリマサイトに中古として出品しておく。初心者は『売れたらラッキー』くらいの気長に続ける感覚がちょうどいいと思います。値付けも大体の相場はネットで把握できるので、少しだけ相場よりも高く設定して『値段をずっと据え置きにする』こと。スニーカーのコレクションを固めていき、出品を繰り返して場数を踏むことが一番大切ですね」
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狙い目のスニーカーは?
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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