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「もう終わったな…」炎上が避けられない時代に感じた芸能リポーターの限界

「もう終わったな……」

大村正樹5-2 渡部建会見当日、大村の現場取材を止めたのは番組プロデューサーだった。当初は、その理由がわからなかった。しかし、後に「大村さんが行けば、間違いなく炎上するから」とプロデューサーから説明された。 「それはプロデューサーなりの配慮だったと思います。でも、僕個人としては、“もう終わったな……”と感じたのも事実でした」  大村不在で、女性リポーター中心の記者会見は結局、炎上することになった。要領を得ない釈明を続ける渡部と、堂々巡りの質問を繰り返すリポーターたち。世間の批判の矛先はリポーターたちに向けられることになった。 「番組の危機管理上、僕が行かなかったのは正しい判断なんだと思います。プロデューサーが言うには、“女性リポーターばかりの中で、大村さんが仕切り役になっていたはずだ”と。僕には、その覚悟はありました。でも、僕が質問をすれば、それは悪い意味で目立ってしまうことになるだろう。正しい判断だとは思います。でも……」  キャリアを積み、大村よりも若手のリポーターたちが台頭している現在、「僕の役割は囲みや会見取材ではなく、単独インタビューがメインになりました。これは本来喜ぶべきことなんですが……」と大村は自嘲する。会見ではなく、事件や事故の「現場」に行ってリポートをするのが、今後の大村の主な仕事となって行くのだろう。本人もそのつもりだった。

新たな役割に対し期待と不安が半々の心境

 しかし、この4月をもって、大村のフジテレビの情報番組での役割は大きく変わった。新たな仕事は「ニュース総局 情報制作局 情報センター」の「芸能デスク」というものだった。大村は言う。 「新しい役割は芸能ニュース全般についてのとりまとめ役です。各情報番組における芸能プロダクションの窓口になり、ニュースがあったときには、週刊誌やスポーツ紙報道の裏取り、映像素材の使用、権利処理などを担当します。あとは記者会見の仕切りも求められています。取材者サイドと取材対象者の関係性を調整する仕事です。かつて、《性癖》を尋ねた自分が何を言ってるんだと、思われるかもしれませんが(苦笑)」  かつて、「現場主義」を矜持にしていた大村も、この4月からは内勤業務が多くなるという。新たな役割に対して、期待と不安が半々の心境を抱いている。 「デスク業務とは別に外回りできる日も同じくらいあります。その日は現場に出るつもりだし、周りにもそう宣言しています。芸能デスクとしての信用は、ゼロから作っていきます。それとは別に、現場の声をきちんと伝えることも並行して続けていきます。インタビュー対象者の方に気持ちよく答えていただく。フジテレビの番組に出ていただく。そのお膳立てをするのは自分にあっているような気がします。それに……」  ひと呼吸おいて、大村は言う。 「……質問するのは僕じゃないから、もう叩かれることもないですしね(笑)」
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リポーターとしての四半世紀を振り返る
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